コロンビアの作家
ガブリエル・ガルシア=マルケス
彼の作品で映画化された「予告された殺人の記録」といい「コレラの時代の愛」といい
土着的なリアルな熱さと、それでいて時間とか空間とかを超えた滔々とした空気に包まれた、一筋縄では語れない魅力に惹きつけられる。
彼の息子で、アメリカで活動している映画監督のロドリゴ・ガルシアさんもお気に入りの監督の一人。「彼女をみればわかること」「美しい人」「愛する人」「アルバート氏の人生」
女性をテーマに人生を、生きることを真摯に描く彼の作品は、時流に流されない彼独自の哲学すら感じさせます。
余談だけど、どんな父と息子の関係だったのか、ちょっと興味も湧きます。
さて
この夏の異様な暑さ。
観たい映画も、ときめく映画もなく、ならば今まで映画化された原作を読むことにしようと、選んだのがガブリエル・マルケス。
面白い。
彼自身が最高傑作だという「予告された殺人の記録」は、映画であらすじは分かっているのだけれど、殺人のあった日の登場人物たちの行動が克明に描かれていて、読むのには支障が無い範囲だけど、人物相関が頭の中でちょっと混乱してしまい、読み終えた後に、すぐにもう一度読み返したら……人物相関をはっきりさせながら読んでみると、いやぁ、更に更に面白い。
普通だったら読み終えたら、ともかくも読んだ!ってところで完了してしまうのだけれど、この作品は、もう一度読み返そうと思う気持ちにさせる力があるんでしょうね。
南米の古い小さな集落ともいえる村で起きた一つの殺人事件を描きながら、克明に描かれた群集心理、因習と価値観に囚われた者たちの悲劇。そこから産声を上げようとする新しい価値観。そのせめぎあいの通過儀式にも似た一つの殺人。
読むほどに作品に込められたテーマが一層はっきりと見えてくる面白さ。
目下「百年の孤独」を読んでいる。
ある一族の4世代の物語を描いたこちらは単行本で、これまた登場人物が入り組んでいて、これもまたきっと読み終えたら、もう一度読み返すんだろうな。
そんな惹きつける磁力が、彼、ガブリエル・マルケスの作品には確かにある。
「ブリキの太鼓」も読むつもりで本棚に積んである。
これもまた、かなり、濃度の強い作品。
頭が疲れた時用に、シャーロック・ホームスの生みの親コナン・ドイルやアルセーヌ・ルパンを生み出したモーリス・ルブラン作品も両脇に控えさせている(笑)。
今年の秋冬のマイ・ブームは、映画よりももっぱら読書三昧かな。
マチ。