公開映画作品で観たい!ってのがあんまりないから、今まで観た映画で、記憶に刻まれていて、この原作は読んでみたいと思うものを読んでいる。
どの映画の原作?って、ぱっと浮かんだものをランダムに読んでいる。
若かった頃は原作のイメージで映画やドラマを観て評価したりもしていたけれど、最近は、どういう風に脚色、キャスティングして、演出するんだろうって、そんなところも興味深く、時には意地悪く映画を観ている。
ラッセ・ハルストレム監督の「シッピング・ニュース」(2001年)
この映像が真っ先に頭に浮かぶほど映画の記憶に刻まれている。
主人公クオイルの一族の、苛酷でおぞましき歴史、クオイルが背負う厳しい現実がこの映像に集約されているような、そんなシーン。
父親の厳しすぎるほどの躾けがトラウマとなり、無気力で惰性的な人間に成長した、そんな中年男クオイルを演じたケヴィン・スペイシーが実にいい。
叔母を演じたジョディ・デンチ。彼女が語るおぞましい過去。そんな過去から這い上がった彼女の、生きることへの強さ。
クオイルの妻で遊び好きでハイテンションなペタルを演じたケイト・ブランシェットも、交通事故で序盤で死んでしまって出演シーンは少なかったけど強烈な印象。
そして、人生をやり直そうと子供たちと移り住んだ、父の故郷でありクオイルの一族が暮らしていたニューファンドランド島に移り住んだクオイルで出会った女性ウェイヴィ(ジュリアン・ムーア)
映画は、厳しい北国の漁港の町で、一人の男が自らの人生を取戻していく様を静かに見つめ続ける。ハルストレムらしい演出。
そんな映画の原作であり、ピューリッツァー賞を受賞したE・アニー・プルーの「シッピング・ニュース」を読み始めている。
アン・リー監督で映画化された「ブロークバック・マウンテン」は96ページで短編といっていいほどの量だったけれど、本作は544ページ。クオイルのこと、ニューファンドランド島のこと、クオイル一族の歴史など映画では描ききれなかったことが、かなり克明に描かれていることだろう。
「ブロークバック・マウンテン」の映画レビューはこちらのブログへ