人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

マチの、映画と日々のよしなしごと

machiiihi.exblog.jp

映画「ファッションを創る男~カール・ラガーフェルド」

どんな世界であれ、何かを築き上げた人の一部を垣間見るってとっても刺激。
それがファッションの世界であればなおの事。 「カール・ラガーフェルド~スケッチで語る人生」を観た後だけに興味深い。
多分に野次馬根性で本作を観にいく。
週末に観た二本目の映画。
ファッションデザイナー、カール・ラガーフェルドを追ったドキュメンタリー作品。
映画「ファッションを創る男~カール・ラガーフェルド」_b0309033_16583045.jpg


Lagerfeld Confidential
2007年/フランス/89分
監督/撮影/録音:ロドルフ・マルコーニ

朝、自宅から出かける前のラガー・フェルドから始まる。
彼の寝室あるいはプライベート・ルームだろう。
彼の服装と同じく、ベッドのシーツも白なら、ソファーも白の革。天上までの高さのドアも白。
かといってインテリア雑誌に登場するような無味乾燥でスタイリッシュな雰囲気ではなく、彼の息遣いが感じられる部屋。
壁一面の書棚には本の類がぎっしり詰まっている。テーブルの上にも雑誌の類が平積みに。
暖炉の上にはシンプルすぎるほどシンプルな硝子の花瓶が3つ、等間隔で置かれている。どの花瓶にも白の花(多分バラかな)。その花瓶の間にいくつものスマートフォン(多分)が整然と並べられている。
不必要な装飾、不必要な色彩は一切排除され、彼にとって必要なものだけが雑然と、しかし彼のルールに従って、在るべき場所、然るべき位置におかれている。
化粧台に並べられたトレー、ボールには指輪、ブレスレット、ネックレスが無造作にじゃらじゃらと入っている。クロムハーツだろう。
2つの引出しには、カラーキーパーがびっしりと入っている。
背筋を伸ばし、真っ直ぐ伸びた首にはカラーキーパーで真っ直ぐに保たれた真っ白な襟。

彼のトレードマークとも言うべきいでたち。

冒頭の彼の部屋から、彼は自分に厳しいくらいにとても誠実で、信頼できる人間であるという印象を持った。
そして、この印象は本作を通して最後までぶれることが無かった。

そして彼は人に対してはとてもセンシティブだということ。
だから、センシティブを汚す人間に対しては容赦ないということだろう。
映画「ファッションを創る男~カール・ラガーフェルド」_b0309033_10553458.jpg

彼と母親との関係が興味深い。
彼の性愛傾向について、躊躇いがちな質問に対し、ラガーフェルドは「はっきりといったらどうだい」とにやりとしながら質問に答えていた。
……同性愛を自覚したのは11歳の頃。なんでも話す家庭だから当然このことも母親に話したら、髪の毛が違うように、そういう人がいてもおかしくないわ、と言われたそうだ。

13歳の時に男性と女性に悪戯され、母親に話したら、その時も母親は、あなたがこれ見よがしな態度を取っているからよ、と言われたそうだ。自業自得だといわれて良かったよ、とラガーフェルドは語っていた。


ファッション業界という虚構の世界にいると、一人でいる時間が必要だ。
本も読みたいし、音楽も聴きたいし、ファッションも人生のそんな一つだよ。

自分を演出し続けてきたから、今となってはなにが自分かも定かではないよと、軽く笑って答える。

アイデアや発想をスケッチブックに描き、彼から生み出されたデザインを熟練の職人達が根気よく形にしていく。
思い描く画像にならないから、自らカメラを持って写真を撮る。
仕事に要した膨大な荷物。スタジオに行くもの、地下室に運ばれるもの、自宅に置くもの…何処になにがあるか僕は覚えているよと、当然だろうという口ぶりで答える。

鋭い感性と自らの美学をもった職人気質の男。
飛行機に乗る時に、いつももってくる黒い布袋に入った枕。お腹に乗せておくんだそうだ。子供の時に乳母が汽車のアップリケをしてくれたもので、ボロボロになっているから恥ずかしいから袋に入れてるんだそうだ。「おかしいかい?」ってたずねていた。ずっと本作をみていたから、こんな彼も彼らしいなって思える。
映画「ファッションを創る男~カール・ラガーフェルド」_b0309033_1602264.jpg


Machi。
by machiiihi | 2013-12-10 11:03 | 映画
<< ちょっとクリスマス 映画「キャプテン・フィリップス」 >>