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マチの、映画と日々のよしなしごと

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映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」

★★★★★
THE WOLF OF WALL STREET
2013年/アメリカ/179分
監督: マーティン・スコセッシ
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ジョーダン・ベルフォートの回想録『ウォール街狂乱日記~ 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』を原作にしたこの映画。

ジョーダン・ベルフォートが成功を夢見てウォール街の証券会社で働き始めたのは22歳の時。
働きながら資格取得の勉強を続け株式ブローカーのライセンスを取得したその初日、1987年10月19日月曜日は、ニューヨーク株式が暴落した所謂ブラックマンデーだった。
そのあおりで会社は倒産、ジョーダンは失業。
そこから、札束を履いて捨て、丸めてゴミ箱に投げるほどの金を儲け、時代の寵児ともてはやされ、止まることを知らぬ勢いだったが、やっぱりFBIに目をつけられ、最後はとうとう刑務所に……そんなハチャメチャな10年間を描いた映画。
まぁ、とにかく金・酒・女・ドラッグさらに金・酒・ドラッグ・女……まぁこの繰り返しのクレージーすぎるほどの、ある意味、超絶肉食獣のタフ過ぎるぎるほどの日々。

ジョーダン・ベルフォートってやっぱり切れ者なんでしょうね。
会社上げてのハチャメチャ無軌道ぶりもよく分かっていて、会計士をしていた実父を監視役として雇っている。映画見る限りでは仲間意識もめちゃめちゃ強い人みたいだし、見方によったら、自分の領域にいる人間に対してはとことん誠実な人みたい。

そんなジョーダンの詐欺同然の非合法な彼の商売の手口、金に糸目をつけない贅沢三昧、ハイテンションを維持するために薬とセックスにどっぷり使ったご乱行の数々、そして彼の人柄まで、やばすぎるほど本当にやばい日々を、ここまで見せるか!ここまで描くか!ここまで演じるか!と思わず言いたくなるほどにジョーダンの「ウルフ」と呼ばれた楽園の日々の表も裏も描いて見せた本作「ウルフ・オブ・ウォールストリート」
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上映時間は3時間。
開場後は予告編も5分足らずで早々に本編に。
3時間といえば会社の業務が始まってお昼の休憩までの時間でその間に一度はトイレに行く。
でも映画が始まったらトイレ中断なんてあり得ない!
見る方もそれなりの覚悟がいる。


でもその3時間を飽きさせずに、トイレ行くのも忘れさすのは、さすがマーティン・スコセッシ。
あのちょっと早口で巧みな彼の語り口と話し出したら止まらないのと同様に、映画の語りもそんな感じ。

FBIの捜査の手が伸び、今が潮時と弁護士に諭されトップ辞任も考えるが、社員たちを前に彼らとともに闘ってきた日々を思うと、「俺はやめないぞ~」と叫び、社員たちの間からウルフコール。そんなシーンにかぶさって流れるのはサイモン&ガーファンクルの「Mrs.Robinson」
And here's to you, Mrs. Robinson
Jesus loves you more than you will know, wo wo wo
God bless you please, Mrs. Robinson
Heaven holds a place for those who pray, hey hey hey
Hey hey hey
なあ、ひとこと言いたいんだけど、いいかな?ロビンソンさん
神はあんたを見捨ててはいないぜ、祝福しているさ
天は、祈るものを救うって言うじゃないか

ロビンソンさん、大した話じゃないよ、アンタの事情なんて
何もかもうまくやろう、なんて考えてるんなら
とんでもない事さ
こんな音楽の使い方もスコセッシ監督は上手いなって思う。

そんなスコセッシ監督の演出に加え、ジョーダンを演じたレオナルド・ディカプリオも、これまでの役者人生で培ったもの全てここでお見せしますのさすがの演技。
弾けてましたネェ!
ジョーダン本人が魅力あるのか、演じたディカプリオの役者オーラがそう感じさせるのか。
相棒のドニーと二人で伝説のぶっとび鎮静剤を、期限切れだからとバンバン飲んだ挙句、効いたが最後ヘロヘロになりながらも、FBIに盗聴されている自宅の電話の通話を切らすために這いずって車に乗り込むシーンなんてみていると、「ギルバート・グレイプ」で重度の知的障害の少年を演じた19歳の彼と重なる。

ゴールデングローブ賞ではドラマ部門とコメディ・ミュージカル部門に分かれていてこの部門で主演男優賞を受賞。しかし、アカデミー賞では強敵ぞろいだから今回のオスカーもやっぱり難しいかも。オスカー気にせず、演技で弾けた貴方を見せてちょうだい!
でも、私だったら貴方にオスカーあげたいわ~!

刑務所服役中でも金が物を言い、快適なムショ暮らしを過ごし、刑期を終えたジョーダンはセールステクニックのセミナーを開催するや、第二のジョーダンを目指す者たちが彼の話に熱いまなざしを送る。
その受講者の中の一人の青年にカメラはフォーカス。
それは若き日のジョーダン本人(多分)。なかなかのナイスガイ。
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「アメリカン・ハッスル」は金よりも愛を描いたのに対し、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」は最後まで金を描いている。
アメリカを頂点とする資本主義社会。
つねに前年比の儲けで企業が動き、社会が動く競争社会。
格差社会の激しいアメリカでは、日本以上に持てるものと持たざるものの格差は厳しいだろう。
サクセスストーリーを夢見てアメリカに来るものも後を絶たないだろう。
オバマ大統領も演説で、金を儲けることは悪いことではないと明言してた。
それがアメリカドルを中心に動いている資本主義社会なのだから。
貧しさから抜け出し、より豊かな生活を求めてアメリカに渡ってきた移民たちが作った国なのだから。
自分たちの手で国家の独立を勝取った国なのだから。
これがアメリカ。

ゴールデングローブ賞では、時代は愛を求めているからなんでしょうか、実直な市民社会に戻った「アメリカン・ハッスル」が作品賞を受賞。
本作については賛否両論もあるだろうけれど、私的には「アメリカン・ハッスル」よりも本作の方が好きだなぁ。

★★★★★
ジョーダンが最初に就職した証券会社社長役でマシュー・マコノヒー。ジョーダンにブローカーの裏技、極意を伝授したのはそもそも彼。
ここにきてマコノヒーの姿を良く見かけるわねぇ。
「ダラス・バイヤーズ・クラブ」も楽しみ。


Machi。
by machiiihi | 2014-02-04 10:24 | 映画
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