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マチの、映画と日々のよしなしごと

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カテゴリ:映画( 154 )

映画「彼とわたしの漂流日記」

日本公開は2010年。
まだ韓国映画にさほど興味をもって映画鑑賞リストに入れていなかった頃。
いやぁ、お茶の間シネマで大いに楽しませてくれたのだから
スクリーンで見たらもっと良かったことでしょうね。

借金地獄の人生に絶望して橋から漢江に飛び込み自殺した一人の男。
しかし運よく可、運悪くか、漢江に浮かぶ無人島に漂着。
泳げない彼のサバイバル生活が始まった。

どっからこんなユーモアが生まれたんだろうと思うほどに、
思わず笑ってしまう無人島での彼の生活。

本当に味わい深い役者さん。
飄々とした役から、武骨な役から、凄味のある役から、静謐な役から……
気負うでもなく、すっとその人物になりきっている。


「さまよう刃」を見たのも
本作を見て、ネットフリックスで彼の他の出演作を検索して。


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そんな彼の姿を
対岸のマンションの一室で引きこもっているひとりの女性が、カメラのファインダー越しに見つける。

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世間からはじき出され、世間との関わりを拒んだ「彼」と「わたし」の奇妙な出会いが始まった。
そして、
なんて優しく心が仁割温まる力を与えてくれるラストシーン。
これは是非見てほしい作品。

こんな素敵な映像を生み出せる国民なんだって実感。
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マチ。


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by machiiihi | 2017-05-22 16:32 | 映画

映画「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

ケイシー・アフレックがオスカーを受賞した作品。
彼は、良い演技するなってかねがね思っていたかたオスカー受賞は喜ばしく、
本作を見るのを楽しみにしていた。

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観終わった後の感想は、

もっともっと素直に描いた方が良かったかも…って思うな。

明るかった過去の彼と
人との接触を避け、咎って生きている今の彼
そんな対照的な姿をみせようとしたのだろう、
二つの時間を交錯させた映像はどうかすると見ている側の感覚が分断される。


ポスターなどはかつては夫婦だった二人を出しているけれど
終盤の二人の会話もあえて必要ないのではって思う。


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それよりも
叔父と甥のこの姿



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「ダメなんだ。
 乗り越えられないんだ。
 辛すぎる。」

この言葉を自ら口にできるようになった、
漸くに自らの過去と向き合えるようになった、
一人の男の、再生物語とでもいえるかな。


情緒たっぷりの音楽流れるラストの映像を見ながら、
やっぱり、もっと素直に描いた方が、て思う。
そしたらケイシーの静かな演技がもっと映像に染みわるのにって思う。
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マチ。





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by machiiihi | 2017-05-22 13:24 | 映画

映画雑感~「さまよう刃」

先日見た韓国映画「トンネル」の感想の最後に、
韓国映画をみていると、日本映画がとっても不必要に冗長過ぎて、説明過多、感情的に喚きすぎって思う。
って書いて
映画「さまよう刃」のことも書いたけど……
やっぱりこれは別記事でアップした方がって思ってこちらに移動。
映画の内容については書いてないけど思ったことをちらちらと書いてみる。

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先日お茶の間シネマで
東野圭吾原作の映画「さまよう刃」を見た。
日本と韓国どちらでも映画化されていて、見たのは韓国映画の方。

日本映画は娘を殺された父親役に寺尾聡。
きっと彼の演技は感情を抑えた素晴らしい演技だろうなって思うけど、
韓国版「さまよう刃」を見た後だから、つい比べてしまう。
日本版の冒頭シーンで「あっ、これは違うわ」って思ってスルーした。

韓国でも東野作品は人気なんでしょうか。
日本でも映画化されたものが韓国でも映画化されている。
「白夜行」「容疑者Ⅹ」そして「さまよう刃」

好みとかもあるだろうけど
私的には3本とも韓国版の方が面白い。
かなり脚色しているには韓国版の方で、日本版の方が原作に忠実に映画化してると思う。
けれど、
原作が醸し出す空気、表情がひしひしと伝わってくるのはなぜか韓国版の方。


一概には言えないけど
日本映画って状況を描き、
韓国映画って人にとことんフォーカスして、人間を描いている。
そう感じるなぁ。


「映像で語る」ということにこだわって映画を作っているなって思うのが韓国映画。
そう思うな。
映画雑感だったかな。



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マチ。


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by machiiihi | 2017-05-20 13:00 | 映画

映画「トンネル~闇に鎖(とざ)された男」

叔母と洋食屋さんに行ったその前に見た映画が、公開初日の韓国映画「トンネル」
サブタイトルは「闇に鎖(とざ)された男」

上映館はシネマート心斎橋。
「トンネル」を見そう出ない女性客が多いなぁって思ったら、もう片方の劇場でイ・ジュンギ主演の「シチリアの恋」が上映されていて、女性客は皆さんそちらの方に。
「トンネル」上映のこっちは男性客が目につく。

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手抜き工事が原因で、崩落したトンネルに閉じ込められてしまった男。
その妻。
そして救助隊の隊長。
この3人が主な登場人物

その他
無責任に群がる報道陣や人命第一とそろばん勘定の二枚舌の政府官僚たちの姿をシニカルに描き、
絶望的な状況ながらもユーモラスなシーンもあり、

主演のハ・ジョンウ
妻を演じたペ・ドゥナ
救助隊長役のオ・ダルス。


役者が揃ってる。
みんないい大人の顔してる。
韓国映画をみてると
ほんと
つくづく思う
大人の顔しているなって。
だからかな、映像にとっても説得力が生まれる。

トンネルに閉ざされた妻を演じたハ・ジョンウはもちろんだけど、
妻役のペ・ドゥナがとりわけ良かった!
もともと彼女が醸し出す空気感が好き。
雰囲気とも違うし、オーラといった強さとも違う、
空気感。

改めてこの映画でも、彼女から静かに放たれる
存在を感じさせない、
それでいて彼女の一つ一つの動きや、彼女がみせる何気ない表情が、映像を見る者の目にしっかり刺さってくる。
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ラストシーンの、ちょっと短めのカーリーヘアーのベ・ドゥナの晴れ晴れとした可愛さったら!
ハ・ジョンウ、オ・ダルスそしてぺ・ドゥナ。
この3人の役者が見事に化学反応して生まれたこの作品。
犬君もいい味出してた。

テーマや内容は違うけれど、
主人公の置かれた絶望的な状況、
無責任に人道主義を唱えるマスコミ
何の役にも立たんUNなどなど
ボスニア紛争を題材にした「ノー・マンズ・ランド」に似ているかも。

マチ。







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by machiiihi | 2017-05-13 22:00 | 映画

映画「追憶」

GWの土曜日の朝
「サワコの朝」のゲストが岡田准一君。
で、
やっぱり
観る予定じゃなかったけど、
その気になってしまって、
駅前のイオンシネマまで自転車走らせて見に行って来た。
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「映画、どうだった?」
って訊かれたら
「う~ん、オーソドックスにフツウ~」って答えるしかないかな。
それと気になったのが、
音楽が映像を煽りすぎ、盛り上げすぎで……
もっと抑え気味に使って欲しかったなってのは私の感想。
劇場の音響調節もたぶんに影響してるんだろうと思うけど……
逆に音楽はほとんど効果音レベルでも良かったんじゃないかなって気もするな。


でも出演している俳優たち
岡田准一君に、小栗旬君に、柄本佑君に、安藤サクラちゃん……
みんな30代。
サクラちゃんと佑君はなったばかりか。
でもいい味出してた。
岡田君は勿論だけど、
小栗旬は
これから中年になるにむけていい役者になっていくだろうなって思う。
そんな雰囲気を醸し出してた。
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大人の顔した
大人の味の出せる
そんな役者たちが作り出す日本映画に期待。
そんな気持ちにさせられた彼らの演技。
それだけでもチケット代だして映画館までいった甲斐があったかな。


そして、そして
最後に。
映画タイトル「追憶」
このタイトルで脳裡に浮かぶのはやっぱりシドニー・ポラック監督のこの映画
この二人
そして
あの音楽。
バーブラ・ストライサンドが歌う「追憶」
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マチ。




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by machiiihi | 2017-05-08 11:42 | 映画

映画「T2 トレインスポッティング」

人生を選べ!とばかりに、大金を持ち逃げしたレントンで終った「トレインスポッティング」。そのレントンが20年ぶりに故郷スコットランド・エディンバラに帰ってきた。
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完全に同窓会映画で楽しませて頂きました。

毎年毎年ではなくって、なにせ20年ぶりの同窓会だから、
なんだかんだ言うこと無しに、楽しいもんです。

しょっぱなの映像のこの髭面の男性が、20年前のあのレントンがちらちらっと重なるのだけれど、レントンことユアン・マクレガーって分からなかったなぁ。

でも観ている内に、あんときの奴等のまんまが甦る。


薬漬けでも、ゴミタメみたいな人生でも、未来が見えないから、ある意味、怖い物無し、浮世離れの青春真っ只中の「トレインスポッティング」ではお気に入りシーン満載だったけど、
本作は
ちょっとは人生の何がしかを知り、しがらみも抱えた人生半ばの奴ら。
現実感のあるシーンもあって、
20年という時の流れを感じさせる。


20年間で経済も活性化されスコットランドも変わった。
ちょっと浦島太郎状態みたいなレントン。

それでも
この街から脱出したレントンも、彼らはあん時のまんま。
くすぶった生活もあん時のまんま。
時代に取り残された感の彼ら。
それでも愛すべき彼ら。

あん時のまんまの奴ら。

そんなこんなの「T2 トレインスポッティング」
案外としっかりスコットランドを語り、人生語り、21世紀と言う時代を語ってました。
こんなところがダニー・ボイル監督。



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あとから追記あるかもしれないけど
ひとまずはこれにて。


懐かしの「トレインスポッティング」
娘も大好きなこの映画
DVDは娘に取られてしまって、
WOWOW放送を録画予約する。
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Machi。

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by machiiihi | 2017-04-17 10:37 | 映画

映画「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」


2007年59歳で夭折したエドワード・ヤン監督の「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」

台湾での公開は1991年。
日本公開は1992年。
その後メディア
25年の歳月を経て、4Kレストア・デジタル・リマスター版としてスクリーンに甦った。
上映時間は236分、約4時間。
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1961年に台湾で実際に起きた、中学生の少年による同級生の少女殺害事件をモチーフにした作品。

本作は未見。
今となってはエドワード・ヤン監督の作品が25年たった今スクリーンで観れるということよりも、チャン・チェンが主役の少年を演じ、これが彼の俳優の第一歩となった作品ということで、
14歳のチャン・チェンを見ましょう!ってミーハー的興味も大いに加味されて映画館まで足を運ぶ。
4時間弱、普通の映画2本文と言うことからでしょうか。
鑑賞料金が特典無しで一般料金2,200円。


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 ↑本作のチャン・チェン(撮影当時14歳だったとか)
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↑オムニバス映画「愛の神、エロス」(2004年)~ウォン・カーウァイ監督「エロス    の純愛~若き仕立て屋の恋」のチャン・チェン(26.7歳頃?)
「グリーン・デスティニー」でも「ブエノスアイレス」でもまだまだ青ぐさくって素通りだったチャン・チェンが、コン・リー相手に、青年の初々しい色香と切なさを感じさせ、一気に注目度急上昇。
 
少女役は決まっていたけれど、少年役がなかなか決まらず、
少年の父親役でチャン・チェンの父親がキャスティングされていて、ヤン監督から少年役と同い年の息子のチャン・チェンを紹介して欲しいとの依頼を受けての本作出演だったとか。
演技経験ゼロのチャン・チェン初出演にして初主演映画。
一年間ほど週に数回程度の割合で演技指導みたいな時間をもったそうだ。
彼のお兄さんも映画の中で兄役で出演。


ヤン監督は彼に会ってきっと即決したでしょうね。
監督の演出、演技指導もあるでしょうけど
映画観ていてそう思う。
醸し出す雰囲気、風貌もさることながら、決め手は彼の目じゃないかな。
柔そうに見えてぐっとしたリキを感じさせる目力。
ラストシーンは見せてくれました。
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トイレ休憩無しの4時間弱
途中で眠気が、
一回はトイレ中断が、
って思っていたけれど、

映画はドラマチックな展開ではなく
彼らの日常が淡々と描かれており、
抗争シーンもエキサイティングでもなく
映像もダークトーン
だけれど
トイレも眠気も覚えることなくしっかり4時閑弱、エンドクレジットまで確り観てました。


少年が持っている懐中電灯。
暗闇に、そこだけがぼお~っと小さな丸い光が明るい。
その灯りの中で文字を綴る少年。

少年は闇の中で懐中電灯を点けたり消したりする。
闇の中の小さく弱い光。


一つの時代を
台湾が抱える闇を
そこに暮らす彼れの闇と光
そして
青春という時代が永遠に持ちつづける不安定と一途さ。
そして
どんな時代であれ、生きると言うこと自体が、懐中電灯で照らし出された小さな光を手探りに闇を歩くことと同じではないだろうか。


一つの時代
一つの場所
一つの時間
そこにいた人々が織りなす営み
そして起きてしまったある出来事


しかし時間を経た今、
1人の少年が引き起こした事件は、その少年固有のものではなく、
台湾という国だけが抱える固有のテーマでなく、
人として生きるものの普遍的なテーマ
青春が抱える永遠のテーマが、エドワード・ヤン監督が描いた「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」にしっかりと脈打っている。


この映画の象徴としてある少年が手にしていた懐中電灯。

そしてラストシーンはある意味、衝撃だった。
声を荒げることなく、喜怒哀楽といった感情をほとんど表に出さず、淡々としていた少年が、
警察の一室で着替えを促され、警察官達に強いられた時、
彼は初めて感情をむき出しにして、声を張り上げて激しく抵抗する。


25年を経てこの映画に出合えたことも嬉しいし、
そして
この映画によって
チャン・チェンという俳優が生まれたこともまた嬉しい。


取りとめもなく、
まとまらず、思いつくままに綴ってます。
ちょっと映画に戻って……


映画冒頭で綴られる時代背景。
「1949年前後、数百人の中国人が国民党政府と共に台湾へ渡った。
安定した仕事と生活を求めてのことだった。
未知の土地で動揺する両親の姿に少年たちは不安を覚え、グループを結成し自己を誇示しようとした」


中国共産党が中国本土を完全に支配し、1949年に中華人民共和国を設立。
共産党との政権闘争に敗北した蒋介石率いる国民党は台湾に撤退、1949年12月に台北に新政府樹立。

ヤン監督と同世代の侯孝賢は、日本統治の終わりから国民党率いる中華民国が台北に新政府を樹立するまでを、ある一家を通して描いた「非情城市」を撮っている。
1989年公開の2年前までは台湾はずっと戒厳令下にあった。


1947年に上海で生まれ、2歳の時に家族とともに台北に移住したエドワード・ヤン監督。
この事件が起きた時、ヤン監督も少年とほぼ同じ年齢。
いわゆる外省人と呼ばれた少年の家族、そしてヤンの家族達もそうだっただろう。
少年だったヤン監督もこの事件に衝撃を受けたそうだ。
ある意味では、自らを語り、台湾を語り、時代を語るものとして彼の中で映画化に向けてずっとあたため続けてきたものだろう。


1949年に台湾にきてから12年になる……
少年の父親が、歯がゆさを飲み込みながら口にする言葉
上海では知識人として恐らくは自由闊達に暮らしていたのだろう。
しかし台湾での鬱屈とした暮らし。


少年が家族と暮らす家は、かつては日本人が暮らしていた日本家屋だろう。
日本統治時代の名残りが映像の端々に顔をのぞかせる。


こういう時代を通り過ぎてきたからだろうか、
台湾映画における青春映画って
なぜかノスタルジックで、忘れてしまっていた大事なものを甦らせてくれるような初々しさがある。
少年、少女を演じる俳優の色もあるんでしょうね。


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やっぱり
60年代から90年代にかけての映画っていいなってしみじみ思う。
2,200円出して映画館のスクリーンの前まで足運ぶだけの値打ちもんの本作でした。



Machi。

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by machiiihi | 2017-04-10 16:47 | 映画

映画「アシュラ」


韓国版「アウトレイジ」とでもいいましょうか。
生き残りをかけた血みどろの抗争劇。
そして
誰もいなくなった。
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悪徳市長パク・ソンべが牛耳るアンナム市。
再開発築の利権を巡り、パク市長の悪が渦巻く。
そんな市長の汚れ仕事を一手に引受け、殺人まで手を染めている刑事のハン・ドギョン。
その市長を検察庁送りにするために、ハン・ドギョンの弱みをネタに協力を強要する検事のキム・チャイン、そして実行部隊のドン・チャンハク捜査官。


末期ガンの妻の前では優しい夫の顔を見せるハン・ドギョン刑事。
入院費用を稼ぐ為に、パク市長の手先になり果ててしまったか!ハン・ドギョン。
しかも妻は市長と異母兄妹。
市長と検事の板挟みの崖っぷち。
生来は人情味のあるいい奴だったんでしょうね。
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ハン・ドギョン演じるチョン・ウンソ。
ここまでの汚れ役は初めて?!
43歳。
脂が乗ってきてますねぇ。

   

そんな彼を兄貴と慕う弟刑事のムン・ソンモ。

懐柔策でギョンモが市長の手先に引きずり込んだソンモ。
ギョンモのガキ扱いに刃向って、自分の居場所をつくらんと市長の悪事に自ら手を染めていくソンモ。



一方のキム検事も、ハン・ドギョンから悪事の証拠を手に入れられるかどうか。
上司の至上命令のカウントダウンに彼もまた瀬戸際ぎりぎりに追い込まれている。


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悪徳市長を演じたファン・ジョンミン。
ニコニコしながら、しかし目は冷たく鋭い。
誠実そのもの虫も殺さない優しい男から、極悪人までこの方はほんと化けますねぇ。
役そのものがこの方。
どの作品もそう。


崖っぷちに立った者たちの凄まじいまでのバイオレンス。
この形振り構わぬハイテンション、たたみかけていくハイスピード。
これぞ韓国映画のバイオレンス!
暴力シーンと食事シーンが同じ分量で描かれているのも韓国映画。
生きる為に食べ、そしてなにが何でも生残る。
このエネルギーがスクリーンに充満している。
カーチェイスの迫力ある臨場感は半端ない。

そして終盤
殺し屋たちの手に持っているのは鉈。
韓国映画は鉈なんですね。
殺陣の美学なんぞは蹴飛ばされて、
鉈でぶった切っていくのが韓国映画といっても過言じゃないでしょう。


えげつなさを感じるよりも、生き残りをかけた彼らの死に物狂いの必死さに圧倒されて、ただただスクリーンに釘付け状態。


案外と、ギョンモの弟分ハンモを演じたチュ・ジフンの存在が大きかったかも。
40代男たちの中にあって、30代のジフンの、すっとした所謂クールビューティな風貌が、暑苦しいまでのシーンの溶解剤ともいえるかも。
とはいっても、彼も殺人に手を染めるんですけどね。
そして最後はドギョンとの義兄弟同士のサバイバル。

やっぱり義兄弟の絆も強いんですねぇ、韓国社会では。

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チュ・ジフン君。
今までは身長187の長身とキレイどころの役が多かったけど、
「コンフェッション 友の告白」(2014)は犯罪映画のジャンルだけど、本作のようなバリバリのノワール映画は初めてじゃないかな。
車から突き落とすわ、車を猛発進させてひき殺すわの殺人をやってのけるなんてのも。
「私は王である」なんていうおバカ&コメディ路線系もなかなかのもんだったし(笑)、30代半ばを前にしての本作出演は大きな収穫だったでしょうね。


今までは脳裡に引っかかるほどの俳優ではなかったけど、
本作でちょっとその印象を新たにした。
どこまで化けていけるのか。
ちょっと楽しみ。
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ノワール映画というジャンルで、韓国映画は一つのスタイルを確立しつつあるような……。
そんな凄さを見せつけられた映画でもありました。
「アシュラ」


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Machi。

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by machiiihi | 2017-03-19 20:00 | 映画

映画「コインロッカーの女」

先日WOWOWで放映されていたので録画して週末の夜中に観る。
本作は「未体験ゾーンの映画たち2016」で上映された作品の一つ。

週末は次の日の起床時刻を気にしなくてもいいから、意地でも宵っ張りになる。
とはいうものの、大抵はテレビを観ながら転寝してしまっていて、夜中にごそごそとお風呂に入るのがいつものパターン。
この映画を観始めたのが零時過ぎていて、どうかすると寝てしまうパターンなんだけど、この映画は最期の最後までエンドクレジットまでしっかりと見入ってしまった。


コインロッカーにへその緒がついたまま捨てられた女の赤ん坊。
コインロッカーの番号10番からイリョンと名づけられたその女の子は、金貸しと臓器売買で裏社会を牛耳る女を母と呼び孤児たちを兄弟にファミリーの一員として育ち、母を絶対的な存在として忠実な犬のごとく母に従う。
イリョンの壮絶なサバイバルを描いたともいえる本作。
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裏社会を牛じる母を演じたキム・ヘスの存在感!
韓国の女優って、汚れ役は汚れ役で化けるんですねぇ。

そして、イリョンを演じたキム・ゴウンという女優。
風貌も彼女の持つラ童のような無垢、そして静かな凄みもまさに田中祐子!

韓国の女優って整形美女
美形が一番みたいなイメージだけど
主役演じる女優はやっぱり存在感のある女優。
最後は演技の力。
その女優が放つオーラ。

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裏社会に生きる女二人。
脱け出してみせる。
生き抜いてみせる。


生きることを否定されたところから始まったイリョンたちの、壮絶なサバイバル。
母もまた生き抜くために母を殺し、
生き抜く意思を持ったイリョンを前に
母はイリョンの持つ刃を受け入れる。
それは己に代わって生き抜いていくイリョンに対する最期で最初の母としての愛だろう。


「生き抜く」ということ。
理屈も御託もいっさい不要。
ただそのことを地べたから力強く描かれた作品とも言えるんじゃないかな。

本作を撮ったハン・ジュニ監督は31歳。
これが監督デビュー作。


まだまだ眼が離せない韓国映画界。

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コインロッカー幼児置き去り事件を題材にした村上龍原作の「コインロッカー・ベイビーズ」(1980年刊行)という小説がある。
1981年にはラジオドラマ化され、2016年には舞台化されているとのこと。
また刊行時だろうか、ヴァル・キルマーや浅野忠信、リブ・タイラーなどのキャストで映画化の話があったそうだが未だ実現されていないそうだ。
小説は未読で、本作と交錯する部分があるかしらと興味ありでこの小説も読むことに。




Machi。

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by machiiihi | 2017-03-13 15:37 | 映画

映画「正しく生きよう」

1991年公開のもっ君主演の「遊びの時間は終らない」を見たところで、
リメイクの2007年公開の韓国映画「正しく生きよう」をx見なければ!でNetflixで本作を見る。

監督はこれがデビュー作のラ・ヒチャン。
企画・脚本はチャン・ジン
蛇足だけれど彼は韓国の三谷幸喜とも呼ばれているんだそうだ。
私的には三谷作品よりチャン作品の方が素直に笑えるなぁって思いますけどね。
本作はチャン・ジンが設立した制作会社が手がけた作品。
彼は脚本・企画サイドからバックアップして若手映画作家を育成してるんでしょうねぇ。
≒チャン・ジン作品ともいえるんじゃないでしょうか。


リメイクである本作は102分。
「遊びの時間は終らない」は111分。

設定は同じなんだけど、
犯人役を演じた巡査は、やっぱりもっ君が良かったのだけど、
作品としては、更に短い本作の方が起承転結の語りも滑らかで、
そもそもの事の成り行きも時系列で語られていて、かといって説明臭くなく、
馴れたお方の作品かと思ったほど。
チャン・ジンの脚本がしっかりと出来ているんでしょう。


ラストは、
オリジナル版では、このままどうするんや?!って思ったけれど、
青春映画という括りで、これはこれでいいのだろうけれど、
人生先があるんやでって、この年齢になったらその先まで気になってしまう。

韓国版では防犯訓練の顛末もきちんとお見事に締めくくり、一夜明けてのラストも手際よく、良く出来ました(といってもこじんまり纏まったと言う意味ではなく)のエンタテイメント作品に仕上がっている


リメイク作品って、オリジナルと違う持ち味をって考えるのか、どうかすると奇をてらいすぎてダメになる場合がほとんど。
さほど多くない私の映画鑑賞リストの中で、リメイク版の方が断然面白いと思ったのは、ヒッチコック監督の「ダイヤルMを廻せ」(1954年)のリメイク映画「ダイヤルM」(1998年)
これはリメイク作品の方がハラハラドキドキさせられた。
そんな中で韓国版リメイク作品ってのはオリジナルを越えて、こっちの方がいいやん!って思う作品が多い。
例えば東野圭吾原作の映画作品などは韓国映画「容疑者X 天才数学者のアリバイ」や、「白夜行」~白い闇の中を歩く」もソン・イェジンがファムファタール的オーラが薄かったものの、日本映画のそれらよりも韓国版の数段魅力的だった。

原作やオリジナルに引きずられず、独自の視点、切り口でテーマに迫っているように思う。


犯人役の堅物巡査はもっ君が良かったんだけど
韓国版のこの方もそれはそれで良かったです。
キャラとしては韓国版の遠藤憲一ではないでしょうか。

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そして中央から地方の警察署に異動となったエリート意識むき出しの署長
俺はお前達とは違うんだとばかりに、己を誇示せんとリアルな防犯訓練を提案した署長がこの人。

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本作は劇場未公開で2008年の韓流シネマフェスティバルで上映されたとのこと。

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by machiiihi | 2017-03-13 13:56 | 映画