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マチの、映画と日々のよしなしごと

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カテゴリ:映画( 149 )

映画「T2 トレインスポッティング」

人生を選べ!とばかりに、大金を持ち逃げしたレントンで終った「トレインスポッティング」。そのレントンが20年ぶりに故郷スコットランド・エディンバラに帰ってきた。
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完全に同窓会映画で楽しませて頂きました。

毎年毎年ではなくって、なにせ20年ぶりの同窓会だから、
なんだかんだ言うこと無しに、楽しいもんです。

しょっぱなの映像のこの髭面の男性が、20年前のあのレントンがちらちらっと重なるのだけれど、レントンことユアン・マクレガーって分からなかったなぁ。

でも観ている内に、あんときの奴等のまんまが甦る。


薬漬けでも、ゴミタメみたいな人生でも、未来が見えないから、ある意味、怖い物無し、浮世離れの青春真っ只中の「トレインスポッティング」ではお気に入りシーン満載だったけど、
本作は
ちょっとは人生の何がしかを知り、しがらみも抱えた人生半ばの奴ら。
現実感のあるシーンもあって、
20年という時の流れを感じさせる。


20年間で経済も活性化されスコットランドも変わった。
ちょっと浦島太郎状態みたいなレントン。

それでも
この街から脱出したレントンも、彼らはあん時のまんま。
くすぶった生活もあん時のまんま。
時代に取り残された感の彼ら。
それでも愛すべき彼ら。

あん時のまんまの奴ら。

そんなこんなの「T2 トレインスポッティング」
案外としっかりスコットランドを語り、人生語り、21世紀と言う時代を語ってました。
こんなところがダニー・ボイル監督。



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あとから追記あるかもしれないけど
ひとまずはこれにて。


懐かしの「トレインスポッティング」
娘も大好きなこの映画
DVDは娘に取られてしまって、
WOWOW放送を録画予約する。
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Machi。

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by machiiihi | 2017-04-17 10:37 | 映画

映画「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」


2007年59歳で夭折したエドワード・ヤン監督の「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」

台湾での公開は1991年。
日本公開は1992年。
その後メディア
25年の歳月を経て、4Kレストア・デジタル・リマスター版としてスクリーンに甦った。
上映時間は236分、約4時間。
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1961年に台湾で実際に起きた、中学生の少年による同級生の少女殺害事件をモチーフにした作品。

本作は未見。
今となってはエドワード・ヤン監督の作品が25年たった今スクリーンで観れるということよりも、チャン・チェンが主役の少年を演じ、これが彼の俳優の第一歩となった作品ということで、
14歳のチャン・チェンを見ましょう!ってミーハー的興味も大いに加味されて映画館まで足を運ぶ。
4時間弱、普通の映画2本文と言うことからでしょうか。
鑑賞料金が特典無しで一般料金2,200円。


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 ↑本作のチャン・チェン(撮影当時14歳だったとか)
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↑オムニバス映画「愛の神、エロス」(2004年)~ウォン・カーウァイ監督「エロス    の純愛~若き仕立て屋の恋」のチャン・チェン(26.7歳頃?)
「グリーン・デスティニー」でも「ブエノスアイレス」でもまだまだ青ぐさくって素通りだったチャン・チェンが、コン・リー相手に、青年の初々しい色香と切なさを感じさせ、一気に注目度急上昇。
 
少女役は決まっていたけれど、少年役がなかなか決まらず、
少年の父親役でチャン・チェンの父親がキャスティングされていて、ヤン監督から少年役と同い年の息子のチャン・チェンを紹介して欲しいとの依頼を受けての本作出演だったとか。
演技経験ゼロのチャン・チェン初出演にして初主演映画。
一年間ほど週に数回程度の割合で演技指導みたいな時間をもったそうだ。
彼のお兄さんも映画の中で兄役で出演。


ヤン監督は彼に会ってきっと即決したでしょうね。
監督の演出、演技指導もあるでしょうけど
映画観ていてそう思う。
醸し出す雰囲気、風貌もさることながら、決め手は彼の目じゃないかな。
柔そうに見えてぐっとしたリキを感じさせる目力。
ラストシーンは見せてくれました。
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トイレ休憩無しの4時間弱
途中で眠気が、
一回はトイレ中断が、
って思っていたけれど、

映画はドラマチックな展開ではなく
彼らの日常が淡々と描かれており、
抗争シーンもエキサイティングでもなく
映像もダークトーン
だけれど
トイレも眠気も覚えることなくしっかり4時閑弱、エンドクレジットまで確り観てました。


少年が持っている懐中電灯。
暗闇に、そこだけがぼお~っと小さな丸い光が明るい。
その灯りの中で文字を綴る少年。

少年は闇の中で懐中電灯を点けたり消したりする。
闇の中の小さく弱い光。


一つの時代を
台湾が抱える闇を
そこに暮らす彼れの闇と光
そして
青春という時代が永遠に持ちつづける不安定と一途さ。
そして
どんな時代であれ、生きると言うこと自体が、懐中電灯で照らし出された小さな光を手探りに闇を歩くことと同じではないだろうか。


一つの時代
一つの場所
一つの時間
そこにいた人々が織りなす営み
そして起きてしまったある出来事


しかし時間を経た今、
1人の少年が引き起こした事件は、その少年固有のものではなく、
台湾という国だけが抱える固有のテーマでなく、
人として生きるものの普遍的なテーマ
青春が抱える永遠のテーマが、エドワード・ヤン監督が描いた「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」にしっかりと脈打っている。


この映画の象徴としてある少年が手にしていた懐中電灯。

そしてラストシーンはある意味、衝撃だった。
声を荒げることなく、喜怒哀楽といった感情をほとんど表に出さず、淡々としていた少年が、
警察の一室で着替えを促され、警察官達に強いられた時、
彼は初めて感情をむき出しにして、声を張り上げて激しく抵抗する。


25年を経てこの映画に出合えたことも嬉しいし、
そして
この映画によって
チャン・チェンという俳優が生まれたこともまた嬉しい。


取りとめもなく、
まとまらず、思いつくままに綴ってます。
ちょっと映画に戻って……


映画冒頭で綴られる時代背景。
「1949年前後、数百人の中国人が国民党政府と共に台湾へ渡った。
安定した仕事と生活を求めてのことだった。
未知の土地で動揺する両親の姿に少年たちは不安を覚え、グループを結成し自己を誇示しようとした」


中国共産党が中国本土を完全に支配し、1949年に中華人民共和国を設立。
共産党との政権闘争に敗北した蒋介石率いる国民党は台湾に撤退、1949年12月に台北に新政府樹立。

ヤン監督と同世代の侯孝賢は、日本統治の終わりから国民党率いる中華民国が台北に新政府を樹立するまでを、ある一家を通して描いた「非情城市」を撮っている。
1989年公開の2年前までは台湾はずっと戒厳令下にあった。


1947年に上海で生まれ、2歳の時に家族とともに台北に移住したエドワード・ヤン監督。
この事件が起きた時、ヤン監督も少年とほぼ同じ年齢。
いわゆる外省人と呼ばれた少年の家族、そしてヤンの家族達もそうだっただろう。
少年だったヤン監督もこの事件に衝撃を受けたそうだ。
ある意味では、自らを語り、台湾を語り、時代を語るものとして彼の中で映画化に向けてずっとあたため続けてきたものだろう。


1949年に台湾にきてから12年になる……
少年の父親が、歯がゆさを飲み込みながら口にする言葉
上海では知識人として恐らくは自由闊達に暮らしていたのだろう。
しかし台湾での鬱屈とした暮らし。


少年が家族と暮らす家は、かつては日本人が暮らしていた日本家屋だろう。
日本統治時代の名残りが映像の端々に顔をのぞかせる。


こういう時代を通り過ぎてきたからだろうか、
台湾映画における青春映画って
なぜかノスタルジックで、忘れてしまっていた大事なものを甦らせてくれるような初々しさがある。
少年、少女を演じる俳優の色もあるんでしょうね。


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やっぱり
60年代から90年代にかけての映画っていいなってしみじみ思う。
2,200円出して映画館のスクリーンの前まで足運ぶだけの値打ちもんの本作でした。



Machi。

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by machiiihi | 2017-04-10 16:47 | 映画

映画「アシュラ」


韓国版「アウトレイジ」とでもいいましょうか。
生き残りをかけた血みどろの抗争劇。
そして
誰もいなくなった。
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悪徳市長パク・ソンべが牛耳るアンナム市。
再開発築の利権を巡り、パク市長の悪が渦巻く。
そんな市長の汚れ仕事を一手に引受け、殺人まで手を染めている刑事のハン・ドギョン。
その市長を検察庁送りにするために、ハン・ドギョンの弱みをネタに協力を強要する検事のキム・チャイン、そして実行部隊のドン・チャンハク捜査官。


末期ガンの妻の前では優しい夫の顔を見せるハン・ドギョン刑事。
入院費用を稼ぐ為に、パク市長の手先になり果ててしまったか!ハン・ドギョン。
しかも妻は市長と異母兄妹。
市長と検事の板挟みの崖っぷち。
生来は人情味のあるいい奴だったんでしょうね。
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ハン・ドギョン演じるチョン・ウンソ。
ここまでの汚れ役は初めて?!
43歳。
脂が乗ってきてますねぇ。

   

そんな彼を兄貴と慕う弟刑事のムン・ソンモ。

懐柔策でギョンモが市長の手先に引きずり込んだソンモ。
ギョンモのガキ扱いに刃向って、自分の居場所をつくらんと市長の悪事に自ら手を染めていくソンモ。



一方のキム検事も、ハン・ドギョンから悪事の証拠を手に入れられるかどうか。
上司の至上命令のカウントダウンに彼もまた瀬戸際ぎりぎりに追い込まれている。


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悪徳市長を演じたファン・ジョンミン。
ニコニコしながら、しかし目は冷たく鋭い。
誠実そのもの虫も殺さない優しい男から、極悪人までこの方はほんと化けますねぇ。
役そのものがこの方。
どの作品もそう。


崖っぷちに立った者たちの凄まじいまでのバイオレンス。
この形振り構わぬハイテンション、たたみかけていくハイスピード。
これぞ韓国映画のバイオレンス!
暴力シーンと食事シーンが同じ分量で描かれているのも韓国映画。
生きる為に食べ、そしてなにが何でも生残る。
このエネルギーがスクリーンに充満している。
カーチェイスの迫力ある臨場感は半端ない。

そして終盤
殺し屋たちの手に持っているのは鉈。
韓国映画は鉈なんですね。
殺陣の美学なんぞは蹴飛ばされて、
鉈でぶった切っていくのが韓国映画といっても過言じゃないでしょう。


えげつなさを感じるよりも、生き残りをかけた彼らの死に物狂いの必死さに圧倒されて、ただただスクリーンに釘付け状態。


案外と、ギョンモの弟分ハンモを演じたチュ・ジフンの存在が大きかったかも。
40代男たちの中にあって、30代のジフンの、すっとした所謂クールビューティな風貌が、暑苦しいまでのシーンの溶解剤ともいえるかも。
とはいっても、彼も殺人に手を染めるんですけどね。
そして最後はドギョンとの義兄弟同士のサバイバル。

やっぱり義兄弟の絆も強いんですねぇ、韓国社会では。

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チュ・ジフン君。
今までは身長187の長身とキレイどころの役が多かったけど、
「コンフェッション 友の告白」(2014)は犯罪映画のジャンルだけど、本作のようなバリバリのノワール映画は初めてじゃないかな。
車から突き落とすわ、車を猛発進させてひき殺すわの殺人をやってのけるなんてのも。
「私は王である」なんていうおバカ&コメディ路線系もなかなかのもんだったし(笑)、30代半ばを前にしての本作出演は大きな収穫だったでしょうね。


今までは脳裡に引っかかるほどの俳優ではなかったけど、
本作でちょっとその印象を新たにした。
どこまで化けていけるのか。
ちょっと楽しみ。
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ノワール映画というジャンルで、韓国映画は一つのスタイルを確立しつつあるような……。
そんな凄さを見せつけられた映画でもありました。
「アシュラ」


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Machi。

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by machiiihi | 2017-03-19 20:00 | 映画

映画「コインロッカーの女」

先日WOWOWで放映されていたので録画して週末の夜中に観る。
本作は「未体験ゾーンの映画たち2016」で上映された作品の一つ。

週末は次の日の起床時刻を気にしなくてもいいから、意地でも宵っ張りになる。
とはいうものの、大抵はテレビを観ながら転寝してしまっていて、夜中にごそごそとお風呂に入るのがいつものパターン。
この映画を観始めたのが零時過ぎていて、どうかすると寝てしまうパターンなんだけど、この映画は最期の最後までエンドクレジットまでしっかりと見入ってしまった。


コインロッカーにへその緒がついたまま捨てられた女の赤ん坊。
コインロッカーの番号10番からイリョンと名づけられたその女の子は、金貸しと臓器売買で裏社会を牛耳る女を母と呼び孤児たちを兄弟にファミリーの一員として育ち、母を絶対的な存在として忠実な犬のごとく母に従う。
イリョンの壮絶なサバイバルを描いたともいえる本作。
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裏社会を牛じる母を演じたキム・ヘスの存在感!
韓国の女優って、汚れ役は汚れ役で化けるんですねぇ。

そして、イリョンを演じたキム・ゴウンという女優。
風貌も彼女の持つラ童のような無垢、そして静かな凄みもまさに田中祐子!

韓国の女優って整形美女
美形が一番みたいなイメージだけど
主役演じる女優はやっぱり存在感のある女優。
最後は演技の力。
その女優が放つオーラ。

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裏社会に生きる女二人。
脱け出してみせる。
生き抜いてみせる。


生きることを否定されたところから始まったイリョンたちの、壮絶なサバイバル。
母もまた生き抜くために母を殺し、
生き抜く意思を持ったイリョンを前に
母はイリョンの持つ刃を受け入れる。
それは己に代わって生き抜いていくイリョンに対する最期で最初の母としての愛だろう。


「生き抜く」ということ。
理屈も御託もいっさい不要。
ただそのことを地べたから力強く描かれた作品とも言えるんじゃないかな。

本作を撮ったハン・ジュニ監督は31歳。
これが監督デビュー作。


まだまだ眼が離せない韓国映画界。

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コインロッカー幼児置き去り事件を題材にした村上龍原作の「コインロッカー・ベイビーズ」(1980年刊行)という小説がある。
1981年にはラジオドラマ化され、2016年には舞台化されているとのこと。
また刊行時だろうか、ヴァル・キルマーや浅野忠信、リブ・タイラーなどのキャストで映画化の話があったそうだが未だ実現されていないそうだ。
小説は未読で、本作と交錯する部分があるかしらと興味ありでこの小説も読むことに。




Machi。

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by machiiihi | 2017-03-13 15:37 | 映画

映画「正しく生きよう」

1991年公開のもっ君主演の「遊びの時間は終らない」を見たところで、
リメイクの2007年公開の韓国映画「正しく生きよう」をx見なければ!でNetflixで本作を見る。

監督はこれがデビュー作のラ・ヒチャン。
企画・脚本はチャン・ジン
蛇足だけれど彼は韓国の三谷幸喜とも呼ばれているんだそうだ。
私的には三谷作品よりチャン作品の方が素直に笑えるなぁって思いますけどね。
本作はチャン・ジンが設立した制作会社が手がけた作品。
彼は脚本・企画サイドからバックアップして若手映画作家を育成してるんでしょうねぇ。
≒チャン・ジン作品ともいえるんじゃないでしょうか。


リメイクである本作は102分。
「遊びの時間は終らない」は111分。

設定は同じなんだけど、
犯人役を演じた巡査は、やっぱりもっ君が良かったのだけど、
作品としては、更に短い本作の方が起承転結の語りも滑らかで、
そもそもの事の成り行きも時系列で語られていて、かといって説明臭くなく、
馴れたお方の作品かと思ったほど。
チャン・ジンの脚本がしっかりと出来ているんでしょう。


ラストは、
オリジナル版では、このままどうするんや?!って思ったけれど、
青春映画という括りで、これはこれでいいのだろうけれど、
人生先があるんやでって、この年齢になったらその先まで気になってしまう。

韓国版では防犯訓練の顛末もきちんとお見事に締めくくり、一夜明けてのラストも手際よく、良く出来ました(といってもこじんまり纏まったと言う意味ではなく)のエンタテイメント作品に仕上がっている


リメイク作品って、オリジナルと違う持ち味をって考えるのか、どうかすると奇をてらいすぎてダメになる場合がほとんど。
さほど多くない私の映画鑑賞リストの中で、リメイク版の方が断然面白いと思ったのは、ヒッチコック監督の「ダイヤルMを廻せ」(1954年)のリメイク映画「ダイヤルM」(1998年)
これはリメイク作品の方がハラハラドキドキさせられた。
そんな中で韓国版リメイク作品ってのはオリジナルを越えて、こっちの方がいいやん!って思う作品が多い。
例えば東野圭吾原作の映画作品などは韓国映画「容疑者X 天才数学者のアリバイ」や、「白夜行」~白い闇の中を歩く」もソン・イェジンがファムファタール的オーラが薄かったものの、日本映画のそれらよりも韓国版の数段魅力的だった。

原作やオリジナルに引きずられず、独自の視点、切り口でテーマに迫っているように思う。


犯人役の堅物巡査はもっ君が良かったんだけど
韓国版のこの方もそれはそれで良かったです。
キャラとしては韓国版の遠藤憲一ではないでしょうか。

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そして中央から地方の警察署に異動となったエリート意識むき出しの署長
俺はお前達とは違うんだとばかりに、己を誇示せんとリアルな防犯訓練を提案した署長がこの人。

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本作は劇場未公開で2008年の韓流シネマフェスティバルで上映されたとのこと。

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by machiiihi | 2017-03-13 13:56 | 映画

映画「哭声(コクソン)」

上映館のシネマート心斎橋では3月を最強韓国月間と銘打っている。
そりゃそうでしょう。
先週はパク・チャヌク監督の「お嬢さん」が公開。

そして11日からはナ・ホンジン監督の本作「哭声(コクソン)」
「チェイサー」でわお~!っって思わず叫び、
「哀しき獣」で見事にノックアウトされてしまったナ・ホンジン!
日本の國村準さんを引きずりこんで、今度はどんな映像を私に突きつけてくれるのか!

そして、
18日から公開は「アシュラ」
キム・ソンス監督作品は未見だけど、チョン・ウソン、ファン・ジョンミン、チュ・ジフンそしてクァク・ドォンといった脂の乗りきった40代揃い組みのこの面々は魅力でしょう。


さて本作「哭声」 →詳細はallcinemaで


こんな長閑な村で突然起きたおぞましい殺人事件。
物語はそこから始まった。
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クァク・ドゥオン演じる警官ジョングによって表出される、人間のもつ怒り、恐れ、不安、傲慢といった負の感情が渦巻き、
ファン・ジョンミン演じる祈祷師の漫画チックとも思えるほどのエキサイティングな祈祷が、さらに映像を加速させ、
目の前で繰り広げられる、このどんどんと様相が変わっていく展開に、ただただ息をつめて見続けるしかないという、映像のもつこのパワフルな説得力。

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映像が放つパワー、感情が、見るものを否応なく映像世界に引きずり込む。
この一体感は映画的快感でもある。
猟奇殺人事件を描いた「チェイサー」でわぉ~って思ったのもこの一体感。
「哀しき獣」では、訳が分からないけれど、やばい状況に落ち込んでしまった主人公が夜の街を必死にひたすら走り続ける崖っぷちの疾走感。
そしていつの間にか映像世界に引きずり込まれ、主人公と一体となっている私がいる。

よそ者として登場する國村準演じる日本人。
彼にここまで演じさせたナ・ホンジン監督。
そして演じきった國村準。

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映像の中の國村準さんを見ていると、
ナ・ホンジン監督作品が放つ映像パワーは、登場する役者それぞれの演じる者として力を最大限に引き出し、さらに未知数部分さえも、腹の底から引きずり出すからじゃないかなって思う。

こんな映画を見せつけられる、今の日本映画って、役者に対してずいぶんともったいない使い方をしてるなって思う。



そしてこの映画に登場する子役、警察官ジョングの娘で小学生のヒョジンを演じたキム・ファニの演技が凄い。
演じてます的なわざとらしさがなく、
おませで明るい普通の少女を演じ、
悪魔に憑かれたあとのふてぶてしさ、
悪魔払いで身をのけぞらせ、
映画では、負の感情が渦巻く中にあって、唯一の光、ジョングにとってひたすら守るべき者として存在するヒョジン。
そのヒョジンを見事に演じきったこの少女には脱帽。

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このキム・ファニだけではなく、韓国映画やドラマをみていると子役の演技、彼らの素朴で自然な演技に眼を瞠ることがしばしば。
ドラマなどは最初の2.3話は子役だけでひっぱる場合も多く、思わず感情移入することもしばしば。「宮廷女官チャングム」なども、チャングムの子ども時代を演じたあの子役の演技あってこそとも思う。


祈祷師を演じたファン・ジョンミン。
ファン・ジョンミンが祈祷師? 主演蔵じゃないの?って思ったけど、
悪魔払いの神がかったというか、芝居がかったというか、こんなエキサイティングで有無を言わさぬ空間を作り出せるのは、やっぱりファン・ジョンミンでしょう。
祈祷師ファン・ジョンミンVS悪魔とされる國村準
それぞれがそれぞれの場所で行う二人の祈祷対決はこの映画の大きな見せ場。
國村準の迫力に対抗できる、しかも祈祷師というどこやら胡散臭さ(?)も醸し出せるといえば、ファン・ジョンミンでしょう。


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いやぁ、最強韓国映画です。
ある意味、おどろおどろしさだけで、見るものを2時間半映像にしっかりと釘付けにさせたともいえる本作。
本作を撮ったナ・ホンジン監督、
圧倒的な説得力で観るものを惹きつけた役者たち。


またまた元気を貰いました!



Machi。







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by machiiihi | 2017-03-12 11:16 | 映画

映画「遊びの時間は終わらない」

こんな楽しい面白い映画があったんですねぇ
★★★★★

Netflixのリストを繰ってたら、
韓国映画「正しく生きよう」(2007年)って面白そうなタイトルがあって、
作品概要を読むと…
多発する銀行強盗で不安が高まる。
警察署長は信頼を得ようと強盗の予行演習を行うことに。
ところが超真面目な巡査のあまりにも完璧な演技で、演習は思わぬ方向へ……
なにやら面白そうな予感のする映画。


キャスティングなど知りたくてネット検索すると、
この作品は1991年公開の邦画「遊びの時間は終らない」のリメイク作品で、完璧な強盗役を演じる主役はもっ君こと本木雅弘。
しぶがき隊解散後、彼が本格的に役者活動を始めた頃の作品。

これはもっ君出てるこっちを見なければと検索すると、こちらもNetflixで配信してた。
横道だけど、ネットフリックスといい、フールーといい、動画配信サイトの最近の充実ぶり!

監督はタイトルだけは良く知っているけど見たことがない「難波金融伝・ミナミの帝王」シリーズの萩庭貞明監督。

キャスティングだけ眺めても面白そうな予感全開の面々。

もっ君この時25.6歳。

ええ目つきしてます。

ええ面構えしてます。


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この映画、ウィキペディアのストーリーをお借りするとこんな内容。

ある日、警察は国民のイメージ上昇を狙って筋書きの無い防犯訓練を行うことにした。しかし銀行強盗役に選ばれた警官・平田(本木雅弘)は、まじめで全く融通のきかない性格だった。彼は大真面目に強盗計画を立案して犯人役を遂行。すばやく平田を検挙するはずだった警官がドジを踏んで平田の持つモデルガンで撃たれ死人扱いとなってしまったことから、人質とともに銀行に篭城する破目に陥る。しかもこのことが、お祭り志向のディレクター(萩原流行)によってテレビ中継されることになってしまい、銀行の前には大量の野次馬が殺到。適当に落ちをつけてなんとか穏当に訓練を終わらせようとする警察の意図は次々とくじかれ、防犯訓練は前代未聞の先が読めない展開となってしまった。誰がどうやって幕を引くのか……

しかし、この映画の面白さはやっぱ映画観ないと分からないなぁ。

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もっ君が良かったのか、監督の演出が良かったのか、
三谷幸喜作品よりももっと素直にケラケラ思わず笑えたわ。



Machi。



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by machiiihi | 2017-03-10 15:58 | 映画

映画「お嬢さん」

思いっきりネタバレ

原題は「아가씨(アガシ)」…若い女性に対して使われる総称としてのお嬢さん。
そして英語タイトルは「侍女」を意味する「TheHandmaiden」。
そして邦題は曖昧に「お嬢さん」
タイトルも意味深な……

そしてこの映画。
R18指定ということもあってか、
「解禁された過激すぎる予告動画に話題騒然」とか、「狂おしい官能と欲望の罠。究極の騙し合い」とか「パク・チャヌク監督最新作にして衝撃作」とかとか、あれこれと煽ること。
こういう煽りは話半分と見ておきましょう。


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パク・チャヌク監督が描きたかったのは、
秀子とソッキがやってのける脱出劇じゃないかな。
時代は大日本帝国占領下の20世紀の朝鮮だけど、
これは21世紀版「テルマ&ルイーズ」(199年公開のアメリカ映画を持ち出すなんて古過ぎかしら?…笑)

映画「テルマ&ルイーズ」の二人は追い詰められ手に手をとって断崖に向かって死のダイブ
リアルタイムで劇場でこの映画を見ていた私は、20世紀の女たちはこんな形でしか自らを解放できないのかしらと、男が描いた女の映画に無性に腹が立って、以来この映画は私の中ではお蔵入り。


しかし、21世紀になってパク・チャヌクが仕掛けた本作。
秀子とソッキは、
歴史の表舞台で彼らが脈々と築き上げてきた手垢に塗れ爛れきった欲望にしがみつく男たちを尻目に、
したたかに、しなやかに、歪められ抑えられ続けてきた世界から自らを解き放つ。
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一糸まとわぬ姿で愛を確かめ合う秀子とソッキ。
それは秀子にとって伯父によって強いられ続けてた自身を剥ぎ取った姿。
生まれたままの姿であることに意味がある(と思います)。



秀子を演じたキム・ミニは170cmで手足の長いモデルスタイル。
侍女ソッキ役の新人女優も同じ身長くらいでしょうか。
スレンダーな肢体の二人が全裸で絡むシーン、二人の肢体の美しさを見せるこの構図はエロチックで肉感的では決してなくって、女の渡しにとってはむしろ美しい。


彼女たちが生き生きと際立ってくるのと対象的に、
男二人はくすんでいく。
最後は地下室で煙にくすぶって息絶える。 


してやったっり!
解放感にあふれた喜びを全身であらわすかのような、二人が全裸で見せる愛の交歓シーンもまた美しい。


詐欺師の伯爵によって嬢様を騙す為に侍女として差し向けられたソッキ。
しかしソッキの本当の役割は、牢獄のようなこの屋敷から脱出する為の秀子の身代わり。
仕掛けたのは伯爵と称する詐欺師。

二人が互いの愛に目覚めた時から、物語は原作をはなれ、映画的(といっていいでしょう)な展開を見せる。
この展開は原作以上に面白い。

しかし、しかし、
騙してるはずが騙されている。
そんな展開も原作同様に面白いのだけれど、
いかんせん145分は長すぎる。
それぞれの視点で語るという展開もどうかすると冗長すぎる。
小説ならいざ知らず映画の語りの巧みさを見せて欲しかったところ。
30分、いや10分でも短くまとめて欲しかったところでもある。


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19世紀のロンドンを舞台にしたサラ・ウォーターズの「荊の城」を原作に、舞台を第二次大戦終了まで35年間続いた日本統治下の朝鮮に置き換えた本作。
秀子という存在、彼女が置かれた境遇はそんな時代の朝鮮そのものともいえないだろうか。
そして終盤の爽快なまでの彼女たちがやってのけた爽やかで痛快なまでの逃亡劇。

出演者が話すセリフの半分は日本語で占められている。
決して流暢とは言えない彼らが話す日本語のセリフ。
日本語で語るということ、それ自体にもパク・チャヌクが本作で意図したことだろう。

こんな風に読み取るのは決して穿った見方ではないでしょう。


しかし、韓国の女優たちってほとんどが170cmのスレンダーな体型は、羨ましいくらいに美しい。
秀子を演じたキム・ミニ。
宮部みゆき原作の韓国映画「火車HELPLESS」を見たときは、変った顔の女優だな、いわゆる美人ではないけれど、ファムファタール的な役を演じきれる女優だなという印象を持った。
私のイメージは気位の高い野良猫。

そんなキム・ミニとは違って、ソッキを演じたキム・テリは、どちらかというと国民的美少女といった容貌
ネコよりも犬タイプ、かな。
今回の役はオーディションで1/1500の競争率で選ばれたとか。


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この映画、好き嫌いの評価が分かれるかもしれない作品かも。
私は尺の長さは横に置いて、
女優二人の脱ぎっぷりの良さも加算して彼女たちあっての本作。
高評価です。

輝いてた女優二人に乾杯で
★4つ★★★★☆


マチ








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by machiiihi | 2017-03-06 11:10 | 映画

映画「ラ・ラ・ランド」


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これをアップする頃には今年のオスカー受賞結果も出揃ってるかしら。
作品賞確実の呼び声が高い本作。
お気に入りのライアン・ゴズリング主演とあって、週末に観に行ってきました。


この監督そして脚本はデイミアン・チャンゼル。
前作「セッション」も話題になった映画。
私はどうも乗れなくって、これは未見です。

さて本作。
ワクワクするような期待一杯のオープニング。
カフェでアルバイトをしながら女優をめざすミア。
ジャズを存分に演奏できる自分の店を持つ夢をもつピアノニストのセブ。
そんな二人が出会い、愛が芽生え、互いに励ましあい、愛を育み…けれど現実は厳しく…そんな二人を季節を追いながら描かれていく。

過去映画のオマージュが散りばめられていて
映画ファンには感涙物かも…


ただ私はどうも今ひとつ乗り切れなくって……
ミュージカルって観ているだけで、それだけで楽しいはずなんですけどね。
中盤はいささか眠気を催してしまった。


もう一度観れば、映画ど素人の私でも、又違う読み取りが出来るのかもしれないけど

どうもね、
ミア役のエマ・ストーンが明るく生き生き表情豊かに動き回るのに比べて
ピアノマンのライアン・ゴズリング君の覇気が薄くって
彼はもともとそういうタイプなんですけどね。
それにしても本作ではちっとも魅力的じゃなかったなぁ(って私には感じられた)。



冬から始まり春、そして夏と二人の季節が過ぎ、
どうも乗り切れないまま迎えた
秋、そして再び冬。
この終盤から一気に加速度的にこの物語に嵌まり込めた。


この、時間にしたらラスト30分
これがあれば途中の眠気はどうでもいいわって思えるくらい。
これは、早い話、ミアの物語ね。
主役はエマ・ストーン。
ライアン・ゴズリングは彼女を光り輝かせるお役目だったのね。


作品賞はどの作品か分からないけれど、
オスカーはエマ・ストーンでしょうね。
きっと。



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Machi。



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by machiiihi | 2017-02-27 13:03 | 映画

映画「網に囚われた男」


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キム・ギドク監督の最新作ということでも、
漁師役の男を演じるのがリュ・スンボムということでも、
そしてなにより作品を通してキム・ギドクが描こうとした南北分断という現実に興味ありで、週末、公開初日真っ先に見に行ったのが本作。

北朝鮮で妻と娘と3人で漁師をしながら慎ましやかに暮らしている一人の男が、船の故障で流され韓国側に越境。スパイ容疑で苛酷な取調べを受け、亡命を強要されるも頑なに拒み、無事に帰還を果たすも、北朝鮮側からも南側に洗脳されたのではと危険視され……南北分断がもたらす不条理というにはあまりにも苛酷な現実に巻き込まれた一人の男。


見終わった感想は、切実に重かった。
南北分断とか、不条理なといった、そういった言葉が蹴っ飛ばされるほど、切実に重かった。
見応えの手応えのある重さ。
そしてキム・ギドク監督が突きつけたものの重さ。
一人の人間の人間としての尊厳の重さ。
映画作品として語るにはリアルに重い。


南北分断がもたらす不条理な現実の真っ只中に立たされた1人の男を演じたリュ・スンボムが見せた重さでもあるだろう。
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リュ・スンボム
演じるごとに違う顔を見せるリュ・スンボム
イケメンでもないのだけれど、観ているものを惹きつけて離さない魅力を持っている(と私は思う)。


兄であるリュ・スンワン監督の「生き残るための3つの取引」(2010)では野心むき出しの地検の検事。

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東野圭吾原作の韓国版映画「容疑者X~天才数学者のアリバイ」(2012)では孤独な数学者。日本版「容疑者Xの献身」では堤真一が演じた役。
切実に説得力があって、感情移入できたのは韓国版の方。リュ・スンボム演じる男が抱える孤独、だからこそ彼が見出した小さな光、そんなこんながリュ・スンボムという一人の男を通して切実に伝わってくる。
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「ベルルン・ファイル」(2012)では、冷酷な北朝鮮保安観察員。終盤、北朝鮮情報員役ハ・ジョンウとみせた凄まじい格闘シーン。
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「人類滅亡計画書」(2012)ではごくごく普通の平凡な男性→突如凶暴性を発揮する男→ゾンビ
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そして本作
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観るべき映画。
切実にそう思う映画。



Machi。





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by machiiihi | 2017-02-25 22:00 | 映画