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マチの、映画と日々のよしなしごと

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ラ・メール

「ラ・メール」
映画などでもよく使われているシャルル・トレネの「ラ・メール」
いろんなアーティストがカバーしていて、最近では、「裏切りのサーカス」のラストシークエンスでフリオ・イグレシアスが歌う「ラ・メール」が、それはそれは印象的で、このラストを観たいがためといっては大袈裟だけどWOWOW放映で何度観た事か。
ラ・メール
涼しくなったら週末の夜とか、休日ののんびりとした朝に聴くのもいいなぁと思って、さて、誰の声で聴きましょうとなると、
これは友人のS君に聞くのが一番と「ちょっとお尋ねします」メールを送ったら、返信なくって、あらっ見捨てられた?無視された?って思っていたら、翌々日にメールが。
「聞き直してたから、遅くなったけど…」と、こんなところがええ加減にあしらわないS君らしい!
で、彼のお奨めは
「Bing Crosby。女性ボーカルなら DALIDA。英語歌詞でも良ければRod Stewart」
く~っ、渋いセレクト!
きちんとツボにはまるセレクトをしてくれるところがS君。

ビング・クロスビー、いい声したはる。
本家のトレネさんよりこっちの方が好きだなぁ。
ロッド・スチュワートの英語版は、これはもう、なにせロッド・スチュワートやさかい、なんもいうことおません。彼のあの個性とパワフルさとあの声で、完全に自分の歌にしたはる。
でもダリダが歌う「ラ・メール」が良かったナァ。
亡くなって26年になるんですねぇ。
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それから
昼下がりのカフェテラスでゆったりと、聴きなれた曲のBGMが耳に心地よく……といった軽いタッチでなら、AWAの歌う「ラ・メール」もいいかも←マチのおすすめ(いいとこどりはS君がもっていったから、強引に…笑)
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ディー・ディー・ブリッジウォーターのも個性的で気に入っている。
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Machi。
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# by machiiihi | 2013-10-25 00:01 | 音楽

何を着る?

今朝の天気予報によると、大阪の今日は風は強めで、昨日より気温も湿度も高めになるとのこと。
毎朝、天気予報を見ながら、何を着るんだ?って悩んでしまうこの頃。
大事とって厚手の上着をきていくと、帰りの地下街で買い物していると汗ばんでくるし、かといって油断して薄手でいると日が落ちてからの帰路はぐんと冷えている。

気温も湿度も高めだという今日は、十数年前からご愛用の、しっかりと目の詰まった織りの、綿の一重の黒のトレンチコート。
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裏は画像ではわかりにくいけど、全て袋縫い仕上げでいい仕事してますネェといいたくなる仕立て。
男女兼用のゆったり仕立てのコートでくるぶし近くまであるロング丈。
一重といってもしっかりと目が詰まっているから、かなり長い期間着れるし、なんといっても木綿だから、多少の雨に濡れても気にならない。
それに、この木綿のコートの黒って艶がないし、もっともっと年数経つと染めがだんだんといい具合に落ちてくるのもまた魅力。
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木綿に拘り続けている「GOKI」のトレンチコート。
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いい仕事している服って何年経っても飽きないし、その時々で、着る人に寄り添ってくれる。
10年以上たってるけど、着るたびにそう思うお気に入りの一つ。
行く末はコロンボ刑事のヨレヨレか、ジャン・ギャバンのトレンチ姿をめざしたい(笑)


さて、
秋も深まり、このコートでは心許なくなってくると、次に登場するのはこの色に惚れ込んだミッドナイトブルーの膝丈の(裏地がついた)トレンチ。
ライナーつきだけどめったにライナーはつけずに着ている。
このコートの色、紺色で一括りにはしたくないミッドナイトブルー。

これと併用して薄手で柔らかい黒のカシミアの、やっぱりこれもトレンチコート。
さらにさらにもっと寒くなって、一度着るとずっとこれになってしまうダウンコート。
だから冬の楽しみはストールのお洒落。
コートにストール。こんな冬のお洒落には身長の高さに感謝する。


Machi。
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# by machiiihi | 2013-10-24 10:40 | お気に入り

パトリス・シェロー氏の訃報

会社に入る前の朝の喫茶店でいつものように新聞読んでいると、渡邊守章氏(京都造形芸術大学教授・演出家)が書かれた「演出家パトリス・シェロー氏を悼む」(朝日新聞10月23日付朝刊)という文字が飛び込んできた。
ウィキペディアを見ると「2013年10月7日、肺がんのため死去。満68歳没」とあった。

舞台演出家であると同時に映画監督でもあったパトリス・シェロー。
彼の舞台は知らないけれど、映画作品はフィルモグラフィーをみるとほとんど観ている。
●「蘭の肉体」 La Chair de l'orchidée (1975年)
●「傷ついた男」 L'Homme blessé (1983年)
●「王妃マルゴ」 La Reine Margot (1994年)
●「愛する者よ、列車に乗れ」 Ceux qui m'aiment prendront le train (1998年)
●「インティマシー/親密」 Intimacy (2001年)
●「ソン・フレール…-兄との約束」 Son frère (2003年)
ご本人とは、ダニエル・デイ=ルイスがモヒカン族の青年(まったくこの方はなんでこんな役?ってのにもとことんのめりこんで、この時もコーチをつけてランニングに励んだとか。まぁ、野山を駆け抜けるダニエルさんの姿は俊敏な野生児)を演じた「ラスト・オブ・モヒカン」では、一人の女性をめぐってダニエルと敵対する軍人役で出演していて、映像を通してお目にかかった。


彼の映画は、渡邊氏の言葉を借りれば「映画に取り憑かれていた時期の、異常なまでの性的身体や皮膚感覚の映像」。
内面のヒリヒリするような、言葉では言い表せない感覚を、映像に生々しく再現することに拘り続けた、ある意味とっても過激ともいえる彼の映像。
けれど、観終わった後には癒えない痛みを抱きしめるような静かな優しさが残る、そんな彼の映画。
私はそんな彼の映画が好きだったなぁ。

それにしても思い出すのは「王妃マルゴ」のカトリック教徒と新教徒のリアルに生々しかった殺戮シーン。そして、そんな映像にも動じないだけのマルゴ役イザベル・アジャーニの存在感!
映画レビューはこちらのブログで
「傷ついた男」
「愛する者よ、列車に乗れ」
パトリス・シェロー


Machi。
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# by machiiihi | 2013-10-24 00:00 | 徒然に

今日の晩ご飯

新米の美味しい季節。
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炊きたて新米ご飯に、冷凍していた北海道・丸亀水産のイクラを乗っけて。
副菜は残り物の大根のお漬物と、穂高のお土産にもらった手作りのわさび漬け(美味しい! きく~!)もちょこっと。
夫が出張中なもんで、今夜の私の晩ご飯はこんなもんでいきましょう。
ご飯だけ炊いて、あとは冷凍庫から出しただけ。
のんびりゆっくり秋の夜長をテレビの前で楽しみたいから~。
汁物は、たしか不室屋の「ふやき御汁」がいくつか残っていたはず…澄まし汁が一つだけあった。
そのかわり、イクラはたっぷりと乗っけることにいたしましょう。
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ご飯炊いている間に、じわ~んとイクラが解凍されていく~。
つや~っと光っていること!

食べ終わってみると、身体の内がほこほこととっても温まってきて、イクラってやっぱりカロリー高いんだって実感。
普段は野菜中心の食事が多いから、高カロリーにはとっても敏感に反応してしまう。
で、思うのが高カロリーに対抗するだけの体力・エネルギーって要るなってこと。
だって、内臓で燃焼するエネルギーに体力が余計に使われるのか、なんか疲れてしまうもの。
こんなところにも若い頃とは違うんだってしみじみ実感。



Machi。
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# by machiiihi | 2013-10-23 09:34 | 美味しいもの

映画「プレミア・ラッシュ」

2010年にニューヨークで撮影されたもののアメリカでの劇場公開は2012年だったとか。
主演のワイリーを演じたジョゼフ・ゴードン=レヴィットのここ数年の人気急上昇で日の目を見たのかしら。
日本では劇場未公開でビデオスルーされた作品。
監督は脚本家としても知られるデヴィッド・コープ。
WOWOW放映でお家シネマしました。
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面白かった!
95分間充分に楽しめました。


PREMIUM RUSH=超特急
ブレーキ無用と究極テクニックで疾走するバイクメッセンジャー、ワイリー。
ある日、知人の中国人女性ニマから午後6時半までにチャイナタウンのある人物に直接手渡して欲しいと1通の封筒を託される。
しかしその封筒をよこせと刑事マンデーが現れ、それを突っぱねたワイリーは、マンデーの執拗な追跡を受ける。
走る車の間をすり抜け、歩道の歩行者の間をすり抜け、横道をかいくぐり、ニューヨークのど真ん中、自転車と車のカーチェース(この場合も言うのかな?)
そんなワイリーを取締る自転車警官も追ってくる。

交通渋滞日常のニューヨークでは自転車通勤のニューヨーカーも急増しているとか。
そんなニューヨークではバイシクルメッセンジャーも数千人とか。
時間厳守のスピードを競う商売。
当然ニューヨークのど真ん中で、メッセンジャー同士が車をかき分け速さを競い合うのも日常茶飯事だろう。渋滞した車のすき間をすり抜け、横断歩道をゆく歩行者の間もすり抜ける彼らには交通ルールもないも同然というのが実態だろう。
そんな暴走する輩を取締るのにパトカーじゃなくって自転車警官もニューヨークにはいるんだ~。


ワイリーに託された一通の封筒にはとても切実なドラマがあって裏社会も見えてきて、なぜにマンデーがその封筒を狙うのかも明らかになってくるんだけど、それはまぁ副菜として、マンデーの追跡かわすワイリーの疾走ドラマは、きっと自転車好きや自転車に拘る方には堪らん映像かも。
自転車好きでなくっても大いに楽しめる作品なんだけど、早い話がピストバイクがニューヨークのど真ん中を縦横無尽に疾走するってだけなんですけどね。
観たら絶対面白いと思うんだけど、日本での観客動員は一部の自転車愛好家どまりになるんだろうなぁ。
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フランスで開催される自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」を描いたドキュメント作品「ツール・ド・フランス激闘の真実」と「マイヨ・ジョーヌへの挑戦」を観てからすっかり自転車ロードレースファンになったんだけど、興味ない人には全く興味ないんだろうなぁ。
「ツール・ド・フランス激闘の真実」「マイヨ・ジョーヌへの挑戦」の映画レビューはこちらのブログ

ビデオスルーされたけど、でもワイリーたちメッセンジャーたちが疾走する映像なんてのは、やっぱりスクリーンで見たほうが絶対にスピード感があってスリリングだっただろうなって思う。

「(500)日のサマー」(2009年)で、すっかり草食系男子の代表ジョゼフ・ゴードン=レヴィットのファンになった私。「LOOPER/ルーパー」(2012年)では太い眉毛にぶっと笑ってしまったけど、殺し屋も出来るとこみせたし、「ダークナイト ライジング」(2012年)の警官役も良かったこと。
本作もそんな彼が主演だから、マッチョムンムンじゃないし、なんといっても彼の癒しスマイルと、子供っぽさの残るムキになりかたなんかも良くって、スリリングだけどくどくなくってさらりと楽しめる、なかなかにいい映画!
どっかでもう一度観たいから録画削除しないで保存してある。
「(500)日のサマー」の映画レビューはこちらのブログ
「LOOPER/ルーパー」の映画レビューはこちらのブログ
「ダークナイト ライジング」の映画レビューはこちらのブログ


「アウトレイジ」みて加瀬亮くん、いいじゃんと思ったけれど、やっぱりこの笑顔には負けるわねぇ。
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それから、エンディングで流れてたのは、THE WHO の「Baba O'Riley」で、たしか「CSI:ニューヨーク」のテーマ曲だったよね。
CSI:マイアミがTHE WHO の「Won't Get Fooled Again(無法の世界)」、ラスベガスを舞台にした本家のCSIがTHE WHO「 Who Are You」だったかな。


Machi。
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# by machiiihi | 2013-10-23 00:00 | 映画

金木犀

すっかり日が短くなって……
仕事帰りに買い物して帰るともう真っ暗。
そんな昨日の夜。
門扉をあけると、真っ暗闇の中にふわ~んと懐かしい香りが……
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一昨日までは葉ばかりで、今年はいつ咲いてくれるのかしら? 咲かないのかしらって思っていたばかり。
ここ数日の寒さで一気になんでしょうか。
今朝、家を出る時に一枚。
金木犀の香りに、秋だなぁって思う。

この木の下では、ホトトギスが花盛り。
その横ではクリスマスローズが出番を待っている。
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# by machiiihi | 2013-10-22 09:22 |

映画「ブロークンシティ」

原題:Broken City

マーク・ウォールバーグは良かったけど、ラッセル・クロウがゆるくって~、作品も黒白メリハリある緊張感もスリリングさもあんまりなくって、黒白はっきりつけられないグレーにぼやけた映画ってのが観終わった後の印象。
トキメキもタメイキもなくって普通に家路に着きました(泣)

最近とみに肥満度がまして凄みが殺がれたようなラッセル・クロウ演じる現職市長は、私利私欲に励む小物にしかみえなかったなぁ。どれだけの腐敗政治をやっているダークな市長なのかがセリフで言われているだけで映像からも彼からも今ひとつ見えてこないし、それとも本作はあまり力の入らない手抜き演技だった?

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ヒューズ兄弟の弟、アレン・ヒューズが初めて単独で制作した作品とのことだが、私は彼らの作品を観るのは本作が初めて。前作の兄弟作品でデンゼル・ワシントン主演の「ザ・ウォーカー」は、さほどに興味がわかず未見。

市長選挙を目前に控えたニューヨーク。元ニューヨーク市警察刑事の探偵ビリー・タガートは、現職市長のホステラーに呼び出され、妻キャサリンの浮気調査を依頼される。実はビリーは、7年前に刑事を辞める原因となったある事件についてホステラーに秘密を握られており、ビリーもまた、それに関するホステラーの秘密を握っていた……というストーリーで展開していく。

元刑事のビリー・タガートにマーク・ウォルバーグ。現職市長ホステラーにラッセル・クロウ初共演にも興味ありだし、その妻にキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、対立候補にバリー・ペッパーとなかなかの顔ぶれに、面白そうかなと期待して劇場鑑賞。

マーク・ウォルバーグ……
「ブギー・ナイツ」で彼を初めて見たときは、作品そのものはとても面白かったし、監督のポール・トーマス・アンダーソンに注目!だったけど、主演だった彼の印象はごくごく普通だった。
彼のこの普通さ、さほど主役オーラが感じられないこの普通さで、これからどんな役を演じるんだろう?ってちょっと心配してたけど、「ラブリーボーン」(2009年)で、(殺害され)行方不明になった14歳の少女の父親役を演じ、それがとても良くって、彼のもつこの普通さが逆に強みであり魅力なのかもって私の中の評価ポイントアップ。
「ザ・ファイター」(2010年)での実在の兄弟ボクサーの弟ミッキーを演じ、これまた好評価。
そしてマーク・ウォルバーグ!!となったとどめは、なんと言ってもセス・マクファーレン監督・脚本・製作の「テッド」。
子供の頃の仲良しこ良しが大人になっても続いて、ともにうだつの上がらない二人になっちまったジョンとテディ・ベアのテッド。二人(?)の掛け合い漫才に映画館では、ほんと屈託なく笑わせてもらった。
「ラブリーボーン」の映画レビューは こちらのブログ
「テッド」の映画レビューは こちらのブログ
本作は劇場に行くほどのものでもないかなって思う程度。
お家シネマでのんびりと見てもいいかも。


Machi。
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# by machiiihi | 2013-10-21 10:05 | 映画

映画「夢売るふたり」

「ゆれる」では、家長制度の因習に閉じ込められた兄と、家も郷里を捨てたように自由に生きる弟の、この兄弟の、兄弟だからこその確執と、兄弟だからこその切れない繋がりと、そんな兄と弟の中の心の底にゆらゆらとゆれる澱のような得体の知れないものが横たわっていることの、どうしようもならない哀しさが映像からたちこめ、、そしてラストでみせた香川照之の表情にこの映画の全てを物語っているような、あの表情が観るものの胸に焼きついた映画だった。
兄の中で蓄積し続けてきた弟に対すし、ぶすぶすとくすぶり続ける確執が怨念すら感じさせるような香川照之の演技が圧倒的だった。
 「ゆれる」の映画レビューはこちらのブログを 

そして本作「夢売るふたり」で、松たかこがラストで見せたあの表情が、里子、そして里子と貫也のその後を、映像の向うに思い描いてしまう。
松たか子…だんだんいい女優になっていってるナァ。
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女性である監督西川美和子が、女しかもその女は、焼失した自分たちの店をもう一度持つという、自分たちの夢をかなえるために、夫をそそのかして、結婚詐欺で女達から金を巻き上げようとする女を描いた本作。同じ女だからわかる、女の持つ現実性、逞しさ、意地、残酷さ、母性本能、すがりつきたい弱さ……。

女の本性といえば大袈裟だけど、松たか子を通して映像に引きずり出したともいえる本作。


夫の貫也が板前として腕を振るい、妻の里子が明るい笑顔と気配り目配りで店を仕切る。カウンターをはさみアイコンタクトで互いに通じあう里子と貫也の最強の二人三脚。
二人で一つだった、いつもそれが当たり前だった里子と貫也。

二人で励ましあって苦労しあってやっと念願の小料理屋を開き、常連客で賑わう店を二人で築き上げて5年。
その幸福が、二人の夢が、目の前であっけなく焼け落ちてしまった。
意気消沈する貫也とそれを励ます里子。
二人の関係は、里子が貫也の妻であり、そして母であり、貫也はそんな里子に頼り、従順に甘えてきた。そんな関係だったんだろう。
だから新しい店の構想も、女達から巻き上げた資金ではまだ不足だけれど、貫也の希望を叶えてあげたかったのだろ、貫也を励まして結婚詐欺に精を出す里子。
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結婚詐欺も最強のタッグでやっていたはずの二人が、どこからすれ違っていったんだろう。
女たちにささやかな夢を売るのと引き換えに、二人の中でキラキラと輝いていた幸福や笑顔が乾涸びていった。


店の常連客だった玲子が、不倫相手の弾性からの手切れ金を店をなくし失意の貫也にくれた。
女が惨めな気持ちで受け取った金を、惨めな二人が受け取った。
その札束を凝視しながらガスコンロで燃やし、火のついた札束を貫也に叩きつけた里子。
「里ちゃんは女たちに復讐したいだけなんだ!」そう詰る貫也の言葉をコップの水と一緒に飲み下す里子。


係わった女たちの人生、彼女達が胸に抱えている哀しい部分、一生懸命さに触れる度に貫也のなかで何かが少しずつ変りはじめたのだろう。
女の夢を金に換算する里子。
貫也がいない部屋で空しく自慰行為に耽る里子。


貫也の幸福は、自分が作った料理を美味しいといって食べてくれる人の笑顔。
その貫也の喜びが自分の喜びだった里子の幸福だったあの頃。
二人で一つの笑顔だったあの頃。


その貫也が離れていく。
彼が偶然に出会った一組の母子。
親切心で作った自分の料理を美味しいと笑顔で食べてくれる食卓の温もり。
料理を作ってあげるだけだから……
公務員だから金には困ってないと思うから……
もうすこししたら金を取れると思うから……
店が開くまでには帰ってこれるから……

そういって庖丁を包んでその親子の家に向かう貫也。
その腕をつかむ里子。
「行かないで」そういって縋りつくことができたら……
自分の中にある弱さや不安を彼にぶつけることができたら……
それができない、自分で背負い込んでしまおうとする里子の強さ。
里子には出来ないんだよね。
貫ちゃんのこと、誰よりも一番よく知っているから、だから弱い部分を見せられないんだよね。
これ以上惨めになりたくないと思う里子の意地もあったんだろうね。
だから、その腕を放してしまったんだよね。

里ちゃんが後を追ってきてくれたら……後ろを振り返った貫也。
引き止めて欲しいと思った貫也。
引き止めたいと思った里子が飛び出したのは、彼が自転車で走り去った後。
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貫ちゃんはもう帰ってこないんだ。
私から離れていったんだ。
横断歩道に立ち尽くす里子の目の前に、二人が結婚詐欺を働くきっかけとなった手切れ金の玲子が、キャリアウーマンとして颯爽としたスーツ姿で歩いていく。里子に気がつき笑顔を見せる玲子。

そんな玲子の元に、二人の店だった「いちざわ」のゴム印を押した封筒で現金が届く。
どうやって工面したのか、里子の女の意地だろう。
貫也が係わった女たちはそれぞれに新たな一歩を踏み出し自分の人生を歩き始めている。

里子は東京を離れ青森の大間漁港で働いている。
頭の上でカモメが甲高く鳴いている。
刑務所に服役している貫也の耳にカモメの鳴き声が聞こえたような、そんな遠くをみつめる目で空をあおぐ。
ここにいない里子を思い出しているような……。
そして里子は……
スクリーンを観ている観客を見つめるようにじっと前をみる里子。
働いて生きていくしかないでしょう。
貫ちゃんが出てくるまでここで頑張る。
夫婦だから……
このラストシーンの受けとめ方は、もう一度映像で確かめたいなって思う。

夢を見ていたのは女たちだけではなくって、里子と貫也の方だったのかも知れない。
人間って、外からどんと押してもらうか、何かの衝撃がなければ、袋小路から抜け出せないのかもしれない。
里子や貫也、それから二人がかかわった女たちをみていて、そんなことをふと思うと、ポール・トーマス・アンダーソン監督の群像映画「マグノリア」で、空からカエルの雨が降ってきて、その衝撃で躊躇っていたものたちが次の一歩を踏み出す、あのらすとシーンを思い出す(のって変かな?)。


妻・里子に松とも子、そして夫・貫也に阿部サダヲというこのキャスティング。
そして阿部サダヲが結婚詐欺師?というあり得んと思える設定。

兄弟の確執を描いた「ゆれる」に比べて、本作は切れ味は少し鈍いかなとは思うところもあるけれど、さらに女たちに迫って欲しいと思う。
向田邦子の、あの温かくも鋭い視線と切れ味が欲しいナァと思うのは、ちょっと酷かな。
向田邦子が生きた時代のほうがもっともっと飢餓感が強かったのかな。
そして彼女自身も強烈に生きるということ、女であるということに飢えていたんだろうなぁ。


マチ。
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# by machiiihi | 2013-10-20 00:00 | 映画

映画「蛇イチゴ」

西谷美和が自作脚本で2002年に監督デビューをしたのが本作。
プロデュースは映画監督でもある是枝裕和。
以降「ゆれる」(2006年)、「ディア・ドクター」(2009年)、 「夢売るふたり」(2012年)とオリジナル脚本で映画を撮り続けている。
「ゆれる」の映画レビューはこちらのブログを

「ディア・ドクター」の映画レビューはこちらのブログを
家族、兄弟、過疎の村社会、夫婦といった社会の小さな単位の人間関係、日常に視点を据え、そこに澱のように沈殿したもの、隠した本音のようなものが、静かにあぶり出されていくように映像に浮かび上がってくる。こういう映像演出が上手いぁと彼女の作品を観るたびに思う。
登場人物のふとしたセリフにドキッとするような鋭さを感じるのは、女性ならではの観察眼だろうか。
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呆けた舅の世話もかいがいしくする母親・章子。
サラリーマンの父親・芳郎。
小学校の教師をしている娘・倫子。
ごくごく平凡とも見える明智家のいつもの朝の光景から物語は始まる。

その夜は倫子の同僚で結婚相手の鎌田が挨拶を兼ねて明智家の夕飯に招かれていた。
朝の雰囲気のまま明智家の夜の食卓も明るい団欒で鎌田もそんな明智家に好印象を持つ。

そんな和やかな空気の中で、倫子の、場の空気を読もうとしない決め付けるような硬さが気になる。
その日のホームルームの時間でも、お母さんが病気だからと言って遅刻して、飼育係りの仕事をしないでいる男子生徒に「嘘はいけないことよ」と決めつける。別の生徒が「お母さんが病気なのは嘘なんですか?」と質問されて睨みつける倫子。
朝の食卓や父との会話からは見えてこなかった倫子の人物像。
正義感が強いというか、情状酌量の余地無しで正論でもって物事を判断するような堅苦しさがチラチラと見えてくる。

食事中に咳き込んだ舅に、見て見ぬ振りしてシャワーの水量を全開にしてひたすらお風呂掃除をする章子。章子の心にふっと悪魔が忍び込んだ瞬間。

そして明智家のおじいちゃんが亡くなった葬儀の日。
父親が失業していて借金まみれだったことが、葬儀場まで乗り込んできた金融業者によって発覚。
その場を堂々の口八丁で取り成したのが、10年前に勘当されて家を出ていた明智家の長男で倫子の兄の周治。
香典泥棒の常習犯の周治は、たまたま香典狙いでやってきた葬儀場で明智家も葬儀をしていただけの話。家を勘当されてからの彼はかなり詐欺や悪徳金融の取立てなどのかなりヤバイことして暮らしていたようだ。
勘当したはずの周治の弁舌に窮地を助けられ、父も母も救いの神とばかりに周治を持ち上げる。
父も母も完全に周治ペースで、「周ちゃん、何とかしてよ~」と泣きつく。
人って、崖っぷちにたたされると自己防衛が働いて思考回路が遮断するのだろうか。
周治がいれば、何とかなるさという気になったのか。
そんな風にも思える明智家。
葬儀の後の弁当をあっけらかんと食べる母。
周治と能天気にフラフープに興じる父。
鎌田から破談を言い渡され、倫子一人がきりきりしている。
口では兄を受け入れるように会話しているけれど、心の中では兄を拒絶している。

経済的に破綻をきたした葬儀の夜の明智家、家族それぞれがじっくりと描かれている。
バラバラなようでいて、ふと、家族を感じさせるような空気。
勘当され家族の不協和音だったはずの周治によってもたらされたケ・セラ・セラ的な明るさ。
雨上がり決死隊の宮迫博之のかもしだす雰囲気もあるのだろうが、日常の、言葉にならない、いろんな感情を内包させたような、ありふれたような空気を描き出す西川美和の演出は上手い。


倫子が、堅苦しいまでの正論で生真面目に生きる姿も、口八丁手八丁で悪知恵の働くこんな兄を反面教師にして育ったからかと肯けるところもある。
子供の時からこの兄の口から出任せの嘘に振り回され続けてきたからだろう。

兄から森に美味しい蛇イチゴがあると教えられ森で迷子になった子供の頃のトラウマが、兄に対する強い不信感となって倫子の胸に根付いているんだろう。

つみきみほ演じる妹・倫子
雨上がり決死隊の宮迫博之が演じる兄・周治。
両極端にあるともいえる兄と妹。
でも、どこか兄と妹の、他人ではない、だからこそ切捨てられない繋がりのようなものが感じられる。



みちこ。
本当に蛇イチゴはあるんだよ。
本当にあるんだよ。
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兄と二人で蛇イチゴを探しに行った倫子は、そんな兄の言葉に背を向けて、携帯で警察に香典泥棒が森にいると通報する倫子。

痛みよりも正義感が勝った倫子が家に帰った時、テーブルの上に置かれていた蛇イチゴ。
家が破産しても明智家の父と母はきっとこれからも家族として、綻びは綻びとして繕いながらも生きていくだろう。
崩壊したのはむしろ倫子自身だろう。
綻びも繕いも知らずに生きてきた倫子のこれまでの人生、信じて疑わなかった彼女の価値観が、目の前の蛇イチゴによって崩れ去った?

西川美和の初監督作品「蛇イチゴ」を観直して、その後の倫子をどこかで撮ってほしいと思った今回の鑑賞でした。


マチ。
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# by machiiihi | 2013-10-19 00:00 | 映画

映画「ムード・インディゴ うたかたの日々」

お家シネマが続いたので劇場公開のこの作品を。
2013年のフランス映画。
監督はミシェル・ゴンドリー。
主演がロマン・デュリスにオドレイ・トトゥで、ちょっとくどい映像かな?って躊躇いもしたのだけれど、こんな作品を映画にするってミシェル・ゴンドリー監督らしいなって思うところもあって劇場まで。
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会社でとっている日経新聞では毎週金曜日の夕刊で公開作品の映画評が掲載されていて、本作も取り上げられていて、なんと★★だった! ★★というのも珍しい。ただ、私的にはここで★★★★とか★★★★★と高評価作品でも、私の中では★★★か、どうかすると★★ってのも少なくはないんですけどね。

原作は39歳で亡くなったボリス・ヴィアンの「日々の泡(L'Écume des jours)」。
私は原作も、過去に映画化された作品は観てないけど、1968年にはジャック・ペラン主演で映画化され、また日本でも1994年には漫画化され、1994年には「クロエ」というタイトルで永瀬正敏・ともさかりえ主演で映画化されていたそうだ。
原作は読んでいないけれど、ポリス・ヴィアンのイマジネーションに溢れ、SF的要素もありで映画化は難しいと言われている作品なんだそうだ。

映画みていると、ミシェル・ゴンドリー監督ってこんな作品、というよりこんな映像を撮りたかったんだろうなって思える映画。
ゴンドリー監督が撮りたい映像イメージがボリス・ヴィアンの「日々の泡(L'Écume des jours)」に凝縮されているって言う方が当たっているかな。
そんな風に思える映画だった。

CGの特殊撮影なんだけど、どっかアナログっぽさもあって、とってもSF的なんだけど、とってもノスタルジックな雰囲気が漂っていて……。
作品としてはどうのこうのといったことは横に置いて、ミシェル・ゴンドリーが撮りたかった映像世界って、こんなのだったんだなって思える映画。

それからロマン・デュリスとオドレイ・トトゥの濃い表情と演技が、現実にはあり得んこの映像にしっくりと馴染んでいるから不思議な二人。


きっとこの映画、わからん映画(そもそもゴンドリー作品って、ファンタジーといおうか、イマージュにとんでいるというか、万人向きとは言いがたいところがあるけれど…)ってところで好みが分かれるだろうとは思うけど、ゴンドリー作品で一つでもいいわねって思える映画があれば、劇場まで足を延ばしても悪くないと思う。
かく言う私も、彼の作品で面白いと思うのは「エターナル・サンシャイン」だけだけど。


マチ。
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# by machiiihi | 2013-10-18 00:00 | 映画