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マチの、映画と日々のよしなしごと

machiiihi.exblog.jp

映画「ハイ・ライズ」

2コブ娘がやってくる前に、まずは映画を見に行く。
といってさほどみたい映画もなく
強いてというところで
トム・ヒドルストンと久々のジェレミー・アイアンズ目当てで「ハイ・ライズ」を観に行く。

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う~ん
スクリーンではドタバタ意味ありげに動き回っているけれど
見ている私は
どうでもよくなって
お好きにどうぞって風になってしまって
彼らの空間が崩壊してしく様を高みの見物よろしくを眺めていた。


フランスの映画作家ジャン=ピエール・ジュネの「デリカテッセン」がふと頭に浮かび
彼なら J・G・バラード原作の本作「ハイ・ライズ」をどんな風に料理したかしらって、ジュネ版「ハイ・ライズ」がみたいもんだわねって思ったり………




映画はそんなもんで、
クローネンバーグ監督「クラッシュ」、スピルバーグ監督「太陽の帝国」の原作者でもある J・G・バラー。
これは映画見るより小説の方が面白そうとアマゾンでゲット。


マチ。
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# by machiiihi | 2016-08-11 09:54 | 映画

映画「テロ、ライブ」

2013年の韓国映画
「群盗」の活劇に血沸きの乗りで、この作品レビューも書いちまおう。

ブログって乗れないと書けないのが私の性分
見た後も、まっいっか、面白かったら面白いでいいやん、それ以上何を御託並べるん?って気になりだしたら、私とブログとの間の距離がぐ~っと隔たってしまう。そういうバイオリズムの時の作品。


この作品の・ハジョンウは今までのハ・ジョンウとは又違う。
まったく彼は変態役者。
その役になりきると言うよりも、そのもの。
本作の彼はニュース・キャスターです。

かつて人気TVキャスターだったヨンファは、ある不祥事のせいで同じ放送局のラジオ部門に左遷、妻とも離婚の鬱屈した日々。が、ある日の生放送中、一人のリスナーから、ソウルの漢江にかかる麻浦大橋に爆弾を仕掛けたと電話が入り、電話を通してヨンファと犯人とノ会話を放送するよう要求。
いたずら電話と無視した直後、麻浦大橋の一部が爆破される。ヨンファはこれを独占スクープに利用し、局の上層部と交渉して、TVキャスターの座に返り咲こうとするが、犯人はヨンファと別れた元妻のリポーターが向かった現場にさらに別の爆弾も仕掛け……。
ヨンファ自身もイヤホンに爆弾を仕掛け、机を離れたら爆破すると犯人から脅される。

半分やる気なしのディスクジョッキー
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そして、TV放映の交渉しながら、トイレの鏡で伝道カミソリで無精ひげを剃り、ネクタイを締めTVキャスターに仕上げていく
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TVカメラの前でスタンバイしたヨンファ。
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さぁ、こっから始まる緊迫のライブ放送
スタジオのデスクに座ったままの状態で、緊迫したこの状況を緩めることなくノンストップの90分間ほぼ一人で引っ張っていったハ・ジョンウの役者としての凄さ!


似たような設定の映画といえばコリン・ファレル主演の「フォン・ブース」
「出るな。出ればお前を殺す」という脅迫電話を受け、公衆電話ボックスから出れなくなった男の、緊迫した状況を描いた作品で、なかなかお気に入りの一作だったけど、
いやぁ、本作はそれ以上。


国家という巨大な力に、立ち向かった個人。
爆弾テロという強硬手段を取らざるを得なかった彼が求めたのは、橋の補修工事中に川に転落し死亡した3人の貧しき労働者に対する大統領の謝罪の言葉。
ただそれだけ。

テロには屈しないという大義名分のもと、ヨンファを通して生放送という形で声を出した個人の声は、声無き声として届かず、名も無き個人は、国家という権力の私利私欲の前に踏み潰される。
そして衝撃のラスト
この時のハ・ジョンウの表情がまた卓越もの。


監督は1980年生まれのキム・ビョンウ。
本作が長編映画デビュー。
低予算かつ6週間という限られた撮影期間でつくり上げた映画。
しかし4年がかりで脚本を仕上げたそうだ。

ここまでストレートに出していいの?って思えるほど
おそらく韓国内でも衝撃作だったでしょうね。
しかし公開されるや4日で観客動員数100万人を突破し、公開6日で200万人を突破したという。
興業的成功は、監督の力とともに、あの緊張感をつくり上げ持続させたハ・ジョンウの存在なくしては無かったでしょうね。
韓国では製作資金つぎこんだポン・ジュノ監督の「スノーピアサー」と同時期公開だったようで、いい勝負したみたい。
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「許されざるもの」で韓国社会の軍事主義にメスを入れたユン・ジョンビン監督といい、本作のキム・ビョンウ監督といい、韓国では30代の若い映画監督たちが、韓国社会に堂々とメスを入れて、自分たちの国を語ろうと頑張ってるなって思う。
多分だけど
映画「許されざるもの」見ていて、兵役義務という2年間というものが、彼ら内部にふつふつとしてあった問題意識をはっきりと自覚させるきっかけの一つになっているんじゃないかなって思う。
だって
韓国映画が見せる本音って、安っぽい言葉だけのヒューマニズムなんか蹴散らされるほど、気持ちいいくらいにストレートで潔いもの。


そしてハ・ジョンウ1978年生まれ
キム・ビョンウ1980年生まれ
そして「許されざるもの」「群盗」のユン・ジョンビン1979年生まれ
同世代の監督と俳優、彼らが良質な映画をめざしてつくり上げているってのが感じられるのも嬉しい。


キム・ビョンウ監督は本作について、
「そもそも大ブレイクを狙って企画した映画ではない。大衆的な観点から見たとき、確かにリスクは存在する。撮影前にジョンウ先輩と話し合ったときも、ジョンウ先輩が『観客100万人を超えるだけでも大成功だ』と話した。これは数値の問題ではない。何より商業映画市場でこのような映画が作られたということに大きな意味があると思った。僕もそんな気持ちで始めた」と語っている。

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警察のテロ対策班として犯人交渉の指示をユンファに行う為にスタジオに。登場シーンは少ないけど彼女の素の感じ、演技していることを感じさせない演技がいいなって思った女優チョン・へジン。TVドラマ「ごめん愛してる」でソ・ジソブの双子の姉で知能障害のある女性を演じた方だったのね



余談ですけど……
どういう内容かは知らないけど予告編見る限りだけど
邦画で中井貴一主演の映画「グッドモーニングショー」が10月に公開される。
朝のワイドショーで司会を務める落ち目のキャスター澄田が陥る災難だらけの一日を、中井貴一主演で描いたものでプロデューサーからは番組の打ち切りを告げられるし、不倫相手の番組サブキャスターから関係を公表すると言われ、都内のカフェで人質立てこもり事件が発生し、犯人が「澄田を呼べ」と要求していると知らされる…。
といった内容みたいだけど
「テロ、ライブ」を見た後だと、なんかこんなん撮ってていいの?って思う……
そうそう予告編でこの作品見て、やっぱ「テロ、ライブ」レビューアップしましょうって思ったんだわ、私。



マチ。
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# by machiiihi | 2016-08-10 11:47 | 映画

映画「群盗」

いやぁ~
久々に活劇の面白さを堪能。

カン・ドンウォン演じる剣の達人ユンが見せる流麗なる太刀捌き。
対するハ・ジョンウ演じる屠畜人トルムチは両手に肉切り包丁。
カン・ドンウォン186cm、ハ・ジョンウ184cm
このガタイがみせる立ち回りは、動きも大きく迫力あるしアクションとしても美しい。
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竹林での格闘シーンが美しい。
チャン・イーモウ監督「LOVERS」でも竹林での格闘シーンは美しかったけど、
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本作もなかなかに見応えあり。
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「悪いやつら」のユン・ジョンビン監督が、ハ・ジョンウとカン・ドンウォンを主演に迎えて贈る歴史アクション活劇。愛する家族を殺されたと畜人の男が、義賊の群盗に加わり、両手に持った肉切り包丁を武器に剣の技を磨き、剣豪の悪徳武官への復讐に立ち上がるさまを描く。朝鮮王朝末期の1862年。一部の官僚や貴族が富を独占し、貧しい民は搾取と弾圧に苦しめられていた。そんな中、と畜人のトルムチは、極悪非道な世継ぎ争いを繰り広げる剣豪の武官ユンにある女の暗殺を命じられ、それに失敗すると、逆に愛する母と妹を殺されてしまう。自分も危うく命を落としかけたところを、義賊団のチュソルに助けられ、彼らの仲間となる。そしてユンへの復讐を胸に武術の修行に励み、ついにその時を迎えるトルムチだったが…。
<allcinema>



この映画
見ているうちに極悪非道なユンの方に感情移入してしまう。
頭脳明晰かつ武芸に秀でるも、庶子であるがため要職に就く道は絶たれ、
父親の愛を渇望するも得られず、
彼もまた階級社会がもたらす不条理な力に翻弄された哀しい存在といえるだろう。
彼が修羅のごとき形相になるほどに悲哀が色濃く漂ってくる。
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そんなユンと比して
持つべきものを持たぬ者たちは
社会の枠を飛越えてアウトローとして生きていく
生きるも自由、死ぬも自由。
荒野を馬を駆るラストシーンなんてまさに西部劇。
アウトローの世界。

だからこそ
ユンという人間に象徴される、時代に囚われ翻弄され己を引き裂かれた者の悲哀が際立つ。


美しき冷血漢極悪非道のユンを演じるカン・ドンウォン。
彼って美しいだけって思っていたけど、本作見て役者としての彼をあらためて見直した。

ユン監督自身
「カン・ドンウォンを映画で見て悪役をしてもとても素敵だろうと思った。悪役としてカン・ドンウォンをきちんと作ってあげたいと思った。それでハ・ジョンウのスキンヘッドから映画を構想した時、台本が出る前にカン・ドンウォンに会ったし『こういう映画だけど、悪役をするととてもかっこいいと思う』と言ったら『後で台本を見せてください』と好奇心を見せた。それで後から台本を渡し、出演することになった」とのこと。
さらに、
非常にいい俳優だが、ビジュアルに長所が隠れた感じというか。俳優としてルックスのせいで過小評価される部分があると思った」とも語っている。

兵役についていたカン・ドンウォンが除隊後のスクリーン復帰作が本作とのこと。
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活劇見た~って思える作品
スクリーンで観たらもっと見応えあったでしょうね
まだこの頃はまだまだ斜交いに韓国映画を見ているところもあったし、
とりわけ美しい男優を持ってこられたら、それだけで映画作品的に疑心暗鬼になってしまうところがあったからね。
だから本作のようにカンドンウォのその涼やかともいえる美しさが、物語に悲劇性をもたらし活劇だけに終らないドラマに仕上がっているのは、監督の手腕でもあるだろう。



マチ。
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# by machiiihi | 2016-08-09 14:53 | 映画

韓国映画「許されざるもの」

先日WOWOWでユン・ジョンビン監督の「群盗」(2014年)を観て、ラストシーンなどは韓国版西部劇!って思える爽快さで、例えばロバート・アルドリッチ監督の「北国の帝王」とか、サム・ペキンパー監督の「ワイルドバンチ」に通じる味わい、はたまたタランティーノ作品に通じるエンタテイメント性ありだし、前作の「悪いやつら」(2011年)は、例えばスコセッシ監督の「ミーン・ストリート」や「グッドフェローズ」にも通じるような面白さありで、一作一作確実に進化成熟しているユン・ジョンビン監督。

となれば、
以前から気になっていて、絶対に見なくっちゃって思っていた本作、彼が中央大学校映画科4年の卒業作品として2005年に制作した本作「許されざるもの」を見る。


1979年生まれ現在37歳のユン・ジョンビン監督20代半ばの作品。
釜山国際映画祭で観客賞など4冠に輝き、2005年カンヌ国際映画祭 ある視点部門出品、2006年米国サンダンス映画祭出品、2006年ドイツ・ベルリン映画祭出品となれば、これは快挙でしょう。
スティーブンン・ソダーバーグは「セックスと嘘とビデオテープ」で史上最年少26歳でパルムドール受賞し、ジム・ジャームッシュ「パーマネント・バケーション」は彼の卒業制作作品、スピルバーグが最高傑作「激突」を撮ったのも20代半ば。
他にも他にもいるだろけれど、とり急ぎ思いつくまま上げてみたけれど、みんなみんな20代半ばで、おっ!という作品を撮っているし、以降の活躍も言わずとも、でしょう。
ユン・ジョンビン監督も間違いなく韓国映画界を引っ張っていく存在の一人といえるんじゃないかな。



<加筆修正>
大概の韓国人男性が経験する19歳~29歳の間の約2年間の兵役義務。
そこに放りこまれた若者たちを通して炙り出される組織というヒエラルキーが見せる不条理。
そんな見えない力に翻弄される彼らの姿、描きだされる人間模様は社会の縮図。
そんなメッセージを強く感じる「許されざるもの」。
ユン・ジョンビン監督の視点は、そこで蠢く男たちを通し韓国社会に鋭く切り込んでいる。

キューブリックの「フルメタル・ジャケット」やサム・メンデスの「ジャーヘッド」で描かれているような、実際に戦場に送り込む戦闘兵士をつくり上げる強烈な軍隊生活とは違う切り口で、案外と淡々と描かれているものの、彼らの言動を通して、20代の2年間の兵役義務というものが、肉体的にはもちろんだけれど、精神的にどれほどの苛酷さを強いるものかということがじわじわと伝わってくる。
学歴も職業も年齢も関係なく、入隊順に上下関係の序列が決まり、理不尽であろうがなかろうが絶対服従の掟。
除隊後、彼らの内面では、どれほどのものを引きずっているのだろうか。


負の構図として兵役義務や軍隊での生活を描いた作品って、韓国映画にあったのだろうか。
ユン・ジョンビンは自主制作映画である本作でタブーに切り込んだ?
韓国映画界の新しい潮流だろう。


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「悪いやつら」公開に先立ってユン監督が韓国社会に言及したインタビュー記事が興味深い。
「ビースティー・ボーイズ」以降、4年振りに再びカメラの後ろに立ったユン・ジョンビン監督は「韓国版ノワール”のこの映画について「香港とアメリカとは違い、韓国はギャングのリアリティーがないです。香港も三合会があり、アメリカにもマフィアという歴史が実際に存在しますが、韓国は偽物じゃないですか。存在しない過程で『こういう奴らがいた』と言えないでしょう。以前韓国で『ゴッド・ファーザー』を作ったら、ギャングの素材としてはだめだ、財閥の風習もしくは、王位逆襲ほどでなければその程度のオーラが出ないと考えたことがありました。つまり、韓国式は卑劣でみすぼらしく凄絶だということです」と語った。

その卑劣でみすぼらしく凄絶だという韓国の男たちの話は、全ての組織の“兄貴文化”に帰結する。軍隊、会社、そしてやくざの集団でも“ロジック”のような兄貴文化。社長に従い列をなして付いて行く風景は、やくざたちとあまり差がない。

「みんな似ています。ただ、どういう風にラッピングするかが違うだけです」
~「悪いやつら」ユン・ジョンビン監督 ― “韓国男性は兄貴文化だ”MYDAILY |2012年02月08日11時09分


ユン監督が語る兄貴文化としての韓国社会。
そして彼が切り込み抉り出そうとする世界に不可欠な役者がハ・ジョンウだろう。

一歳年上で大学も先輩後輩の兄貴的存在ともいえるハ・ジョンウ。
監督自身も同じ町内に住んでいて、一週間に3回以上お酒を飲んでは、映画の話や人生についてあれこれ話を交わせる友人であり、兄であり、良い仲間だと語っている。

ユン監督作品に登場するそれぞれのハ・ジョンウを見れば、彼がユン作品のどれほどのキーパーソンかって分かるだろう。


「許されざるもの」
ハジョンウもまだ20代半ば。若い!↓
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左側が少しとろい新参兵ジフン役を演じたユン監督↓ この方のどこからあんなノワール色の強い作品が生み出されたんだろうって思う風貌。
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余談だけど温泉マークってかつて日本で使われていて、ウィキペディアによると「明治時代から公衆浴場や旅館、赤線などの施設を示す記号として使用されていた。隠語としてさかさくらげとも呼ばれ、連れ込み旅館やラブホテルを意味する。」とあるけれど韓国でも同じかしらね。
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ホストクラブを舞台にした「ビスティ・ボーイズ」
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そして「悪いやつら」のハ・ジョンウ
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そして「群盗」のハ・ジョンウ
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ユン・ジョンピン監督。
次にどんな世界を描き出すのか、
眼が話せない監督でしょう。

かつて昭和の時代、日本映画でも確かにこんな風にギラギラするような熱い映画があったんだけど
今、韓国映画を見ていてそんなことを思う。
やはり映画は社会を映し出す鏡なんだろう。
ともかくも、映画を見て、やはり熱くなりたいと思う。


マチ。





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# by machiiihi | 2016-08-08 13:41 | 映画

原田マハ著「ジヴェルニーの食卓」

先日見に行ったデトロイト美術館展のビデオ映像で、竹中直人さんと一緒にゲストとして出てらした原田マハさん。彼女の画家に対するコメントの一言一言がいい感覚しているなって印象を受け、彼女の著作リストをアマゾンでチェック。
タイトルに惹かれてクリックしたのが本作。
この作品って直木賞候補にもなったんですね。


ジヴェルニー
画家クロード・モネが定住した地「モネの家」があることでも知られている。


私って、受賞作とか候補作、話題作ってところで読む本を選ぶ方でないので、原田マハさんの小説も今回が初めて。
ふとしたきっかけのような、作家とのこんな出会いのほうが私には面白いと思う。
素晴らしい作品には賞味期限も旬もないから、出会う時期がリアルタイムでなくっても私のアンテナにかかったと時が私にとっては読みごろ。
こうして私と作家との新しいお付き合いが始まる。


「ジヴェルニーの食卓」
4編の物語集
最初の一遍はアンリ・マティスを描いた「うつくしい墓」
マティスンの絵の様に
デトロイト美術館展で私がとりわけ気にいったマティスの絵「窓」を彷彿とさせるような描写。
カーテンを羽根のように優しく撫でるように、舞うように、風が、明るい陽光を運んでくるような、そんなマティスの絵のように、慈しみ、愛しむように、マティスという画家に作家の言葉で触れた一遍。


画家を語る言葉の一つ一つが美しく、画家との触れ合いのひと時は、今夏のこの暑さを忘れさせてくれるような……
作家の紡ぎだす言葉一つ一つを慈しむように味わっていきたいと思う。

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「この世に生を受けたすべてのものが放つ喜びを愛する人間。それが、アンリ・マティスという芸術家なのです」(うつくしい墓)。「これを、次の印象派展に?」ドガは黙ってうなずいた。「闘いなんだよ。私の。――そして、あの子の」(エトワール)。「ポール・セザンヌは誰にも似ていない。ほんとうに特別なんです。いつか必ず、世間が彼に追いつく日がくる」(タンギー爺さん)。「太陽が、この世界を照らし続ける限り。モネという画家は、描き続けるはずだ。呼吸し、命に満ちあふれる風景を」(ジヴェルニーの食卓)。モネ、マティス、ドガ、セザンヌ。時に異端視され、時に嘲笑されながらも新時代を切り拓いた四人の美の巨匠たちが、今、鮮やかに蘇る。語り手は、彼らの人生と交わった女性たち。助手、ライバル、画材屋の娘、義理の娘――彼女たちが目にした、美と愛を求める闘いとは。『楽園のカンヴァス』で注目を集める著者が贈る、珠玉のアートストーリー四編。<アマゾンサイトより>


マチ。
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# by machiiihi | 2016-08-08 11:04 |

映画「シン・ゴジラ」

観る気もなかったんだけどね、
息子がね、「マッド・マックス良かったって人の大方がシン・ゴジラがいいって評価だよ」て聞かされて、
「マッド・マックス~怒りのデス・ロード」マックス評価の私にはちょっと気になるので、
買い物がてら駅前のイオン・シネマまで見に行ってきた。


ゴジラの設定は良かった。
這いずりながら登場したゴジラは、なんかお目目の可愛いでっかい縫ぐるみの動物みたいで、ちょっとずっこけ。
まん丸お目目が動かないからどうみても縫ぐるみのお人形に見えてしまう。

でも、これは急速に進化(成長)するという設定だから、初お目見えしゴジラはまだ幼児っていうところなんでしょうね。
納得。

ゴジラそのものがマグマの塊、
体中からビーム光線
ビジュアル的にもなかなかにヨロシイかと
かつ、
演じる(?)のは野村 萬斎というこのコダワリ。
シン・ゴジラ君そのものは良かったのではないでしょうか。


でもどうしてだか
終盤、とっても大事なシーン
ゴジラをやっつけるというシーンの途中で
自衛隊が頑張って、ついで米軍もさすがの威力をみせつけて、
のそんなシーンの最中だというに
きっと数分間かな、熱帯夜の睡眠不足のせいかしら睡魔に襲われて、
ふっと気がつくと、
ゴジラが固まっていて、


(ネタバレ)
どうやら、きっと
シン・ゴジラは
この先も東京のど真ん中で、
人類の歴史の中で忘れてはならない象徴として
モニュメントみたいに
東京のど真ん中にあり続けるんでしょうね。
こういう設定ってけっこう面白いと思う。


でもどうして寝てしまったのかな? 私。
大騒ぎしてた割には、さほどの盛り上がりも、緊迫感もないまま、
映像の中では緊迫感あるシーンのはずなんですけどね。
映像で語るという点の不味さ(致命傷だけど)もあるのかしらね。

それに加えて、
物語の主要人物ともいえる長谷川博巳、それから石原さとみの、かっこつけたセリフと、セリフの割にはオーラも緊張感も感じられないお軽さというか、説得力がないというか、観るものをその気にさせられないというか、そんかこんなで、彼らが登場するたびに、話すたびに白けさせられて、映画に乗り切れなかったということのよう。
ちょっと不謹慎かしら。彼の代わりに小泉 進次郎君(俳優やってるお兄ちゃんじゃなくって弟の方ね)なんか持ってきたら映像がぐっと引き締るだろうなって思いながら見ていた。


ワクワクさせられなかったから、最後にきて映像よりも睡魔が勝ってしまったんでしょうね。
面白ければ眠気も吹っ飛んでしまうんですけどね、映画って。


ゴジラそのものは良かったんですよ。
家に帰ってそんな感想を息子にぶつぶつ話したら
「まぁ、主役はゴジラだからね」って
そういうことなのね。


ごちゃごちゃと俳優いっぱい出演させないで
もっとシンプルにストレートに
そう、
「グエルム~漢江の怪物」みたいな、あのシンプルさ、ストレートさが面白いよなって思う。
それでいてアメリカ癒着の社会を鋭く抉ったブラックユーモア、そして国家なんか当てにしないでダメ家族一人一人が立ち上がって頑張る構図にこめられた思い。
そしてとことんのエンタテイメントで描ききったエネルギー。
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最近の邦画ってなんかタテマエが多くない?って思う。
これ以上は言わずにおこう。


マチ。


グエルムの画像はったんで、いちおう見たからシン・ゴジラの画像もお借りしてはっておきましょう。

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# by machiiihi | 2016-08-08 10:12 | 映画

映画「あなた、その川を渡らないで」

韓国の江原道横城(カンウォンドウフェンソン)郡にある古時里(コシリ)という小さな村で、結婚76年目を迎える、98歳の夫と89歳の妻、2匹の犬と一緒に仲睦まじく暮らす老夫婦を追ったドキュメンタリー。

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予告編を見た時に、思い出されるのはチャン・イーモウ監督の中国映画「初恋のきた道」。
チャン・ツィーの可愛いことって!
都会で働く息子が父親の訃報を聞き山村に戻ってくる。
母親は父親の亡骸を、町の病院から村まで車ではなく村のしきたりどおり担いで連れて帰るという。
町から村へ続く道。
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人里離れた山村の学校に街から新任教師として一人の青年がやってきた。
まだ自由に恋愛をする時代ではなかったけれど、少女チャオディはその青年に恋をした。
青年も彼女の一途な姿に心を動かされる。
しかし文化大革命が起こり、青年は町に戻される。
彼に会いたい彼女は雨の日も、雪の日もひたすら彼を待ち続けた。
そして、彼女は意を決して彼のいる町に向うが道中で倒れてしまう。
助けられ自宅で目を覚ましたとき、彼の姿がそこにあった。
しかし彼はすぐに町に連れ戻され、その後2年間、村に戻れなかった。
再会したのは、二人が初めて会った町と村を繋ぐ道。それから二人はずっと一緒に、一度も離れることなく暮らしたのだった。


ずっと一緒だった二人は、この老夫婦のようにこんな風に互いに労わり合いながら、二人でいることが喜びであるような、そんな日々を過ごしたのかしらねって、かつて見た映画の世界に思いを馳せる。

しかし、ここは現実。
夫の病状が深刻化してくる後半辺りから、客席からすすり泣きが聞こえてきたけれど、泣くほどのこたぁないでしょうと思うのはジェネレーション・ギャップかしら。

映像の老いの姿に、明日とはいかないまでも明後日あたりは我が身という、現実を意識しだした我が世代。

横道にそれるけど、
繊維質の野菜も、子供たちも集まり、焼肉もおいしそうに食べる老夫婦
バリアフリーなどどこの世界のこと?といった二人の住い、二人の日常。
衣服を抱え、敷居をまたいで歩いていく。
12人子供を産み、6人を幼い頃に亡くしたという。
この頑健さ。
豊か過ぎるほどの物質社会に毒されていない世代、環境だからかしら、なんて思いながら見ていた。

衣服を焼くと天国でその服を着れるという風習があるそうで、夫の服と同時に、幼くして亡くなった6人の子供たちのために買い求めた寝巻きを燃やす妻。
天国で子供たちにきせてあげてねと、亡くなった夫に託して服を燃やす。


ドキュメンタリーと言えども、撮る側の意図もありでいささかの作意も感じるものの、慈愛に満ちたような二人の表情そのものがこの作品。
感動ってほどではないものの、チケット買って見ても悪くはなかった映画。
仕事帰りに見てきました。
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マチ。
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# by machiiihi | 2016-08-03 23:00 | 映画

「デトロイト美術館展」

暑いから~
シュールな世界に浸りましょうと、京都まで「ダリ展」見に行くつもりだったけど、友人から「暑い京都に行ってダリなんか見たら頭疲れそう。それより、こっちが先よ」って誘われて、7月最後の週末、大阪市立美術館で開催されている「デトロイト美術館展」に行ってきた。


デトロイト
かつては全米一の自動車産業都市と誇り、
クライスラーやゼネラルモーターズ等の出資を受け設立されたデトロイト美術館。
車産業の資金力でマティス、ゴッホ、ピカソといった若手作家の作品を積極的に収集したとか。
しかし、
2013年のデトロイト市の財政破綻のニュースはまだ生々しい。
当然、再建策の一つとして美術館所蔵のコレクションも売却の危機に立たされるも、国内外からの資金援助により売却されることなく存続しているのは、金では測り得ない豊かで大きな心の財産でしょうねぇ。

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今回の展示会は展示数は52点と少ないながらも、どれも外れなしのなかなかのセレクトに満足。
日本未公開作品が15点もありで、これは暑くてもめげずに見に行く価値ありのもの。



もしも大きな家に住んでいるとしたら
どれを飾りたい?
ってセレクトしてみる。

まずは真っ先!がマティスの未公開作品「窓」。
いわゆるマティスなんだけど、とっても大胆な構図と、ペパーミントグリーンとでもいえるグリーンが新鮮。

それからエドガー・ドガの「朝の乗馬」。
いろんな物語がここから静かに紡ぎだされそうで、(広い部屋で)ずっと眺めていると心が落ちつくでしょうね。
踊り子の絵で有名なエドガー・ドガだけど、今回出展5点の中では、私の一押しはこれ。
それから気になるのは同じくドガの作品で「バイオリニストと若い女性」
二人の横にさりげなく座って彼らの会話をこそっと聞きたいような……
物語の途中のような……
捨てがたい作品。


捨てがたいといえば、
セザンヌの「三つの髑髏」
これはねぇ、どっかの壁にさりげなく飾りたいわねぇ。



肖像画って飾りたいとは思わないけれど、
ルノワールの「肘掛け椅子の女性」は、この絵はいい。
描かれた女性の、若さゆえのこの勝気そうな目は何を見ているのかしら。
この目の表情がとってもいい。
ルノワールが描く女性でこんなにも自己主張している表情って珍しい。


それからゴッホの最晩年の作品、自殺する直前の作とされる「オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて」はとても穏やかで透明感がある絵。
これはずっと眺めていたい作品。

寒色系の色彩の作品なんだけど、
マティスの「窓」は陽射しの差し込む、あるいは木漏れ陽が明るい、南向きの部屋の壁に飾りたいけれど、
この絵の前を通り過ぎ、ちょっと立ち止まって眺めるだけで心が軽やかになってくる。
そんなマティスの絵だけど、
ゴッホのこの絵はどこに飾ろうかしら?
椅子に座って一人静かに眺めたい。

展覧会の最後の締めはピカソ。
出口手前の壁面一面はピカソの作品6点がずらり。
とりわけ最後の3点はこれでワンセット!
「肘掛け椅子の女性」
「読書する女性」
「座る女性」

堪能しました!


デトロイト美術館入り口の壁画はメキシコの画家ディエゴ・リベラの、自動車工場で働く労働者達を描いた作品。
壁画制作の映像も紹介されていたけど、一緒に壁画を描いている女性はひょっとして妻のフリーダ・カーロ?
実際の壁画を見たいけど
まずはこちらの画像で

https://www.youtube.com/watch?v=b_HCKqrafMc

http://www.ktv.jp/event/detroit/index.html

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*作品は堪能したけど会場の冷房が効きすぎはいけません。温度管理きちんとできているのかしらね。



夏本番だけど
週末の映画スケジュールをかいくぐって、頑張って美術館回りしなければ!
8月は叔母と兵庫県立美術館で開催されている「藤田嗣治展」へ。
遠いからって尻込みしてた叔母を、足腰元気なうちに、死ぬまでに見ておきたい藤田嗣治展よ!ってハッパ掛けて一緒に見に行く。
ダリ展は9月だわ。
10月になると伊藤若冲展。
夏バテしないようご自愛しなければ!



マチ。
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# by machiiihi | 2016-08-01 11:46 | 展覧会

「暗殺」追記~「はじけ鳳仙花」

「暗殺」を観て、土本典昭のドキュメンタリー作品「はじけ鳳仙花」がふっと思い出された。
まだ小さかった娘を連れて行った記憶があるから、30年ほど前、自主上映会だったかと記憶している。


原案の冨山妙子さんの詩の朗読もあった。
胸に、というより腹の底にずしんと響くものがあった。
「恨の文化」というのだろうか
鈍い重さが聴く者の腹に響いてくる。
そんな感覚がいまも記憶として残っている。


内容は、
多分、日本でも公開されるだろう
現在、韓国で撮影中の、日本統治時代に軍艦島に強制徴用された約400人の朝鮮半島出身者が、命懸けで脱出を試みた話を描いた「軍艦島」と重なるだろうか。


「はじけ鳳仙花―わが筑豊、わが朝鮮」
機会があれば見て欲しいと思う。
こういうドキュメンタリー作品があるということも。


土本典昭(1928年~2008年)
フィルモグラフィー(ウィキオペディアより)
学生時代、学生会館でよく上映されていた「パルチザン前史」、そして水俣関係は機会あれば積極的に観に行ってたっけ。

1964年 『ドキュメント 路上』
1969年 『パルチザン前史』(小川プロ)
1971年 『水俣 - 患者さんとその世界』(東プロ)
1973年 『水俣一揆 - 一生を問う人々』(青林舎)
1973年 『水俣レポートI 実録公調委』(東プロ)
1975年 『不知火海』(青林舎)
1975年 『医学としての水俣病』(青林舎)
1976年『水俣病-その20年-』(青林舎)
1980年 『海とお月さまたち』(日本記録映画研究所)
1981年 『水俣の図 物語』(青林舎)
1982年 『原発切抜帖』(青林舎)
1984年 『海盗り - 下北半島・浜関根』(青林舎)
1984年 『はじけ鳳仙花 わが筑豊わが朝鮮』(幻燈社)
1987年 『水俣病 その30年』(青林舎=シグロ)
1989年 『よみがえれカレーズ』(記録社=シグロ)
1999年 『回想 川本輝夫 ミナマタ 井戸を掘ったひと』
2003年 『もうひとつのアフガニスタン カーブル日記 1985年』
2003年 『在りし日のカーブル博物館1988年』
2004年 『みなまた日記 甦える魂を訪ねて』
2005年 『ひろしまのピカ』


マチ。
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# by machiiihi | 2016-07-26 09:57 | 映画

映画「暗殺」

日本統治下にあった自国の歴史、時代を生きた者たちの声無き思いを丁寧に描きつつ、かつ堂々のエンタテイメント作品。
激動の時代を背景にした人間ドラマは、やはり血が騒ぐものがある。


セリフはいたってシンプル。
ごちゃごちゃとヒューマンチックな薀蓄語らず、熱き思いを映像に叩きつけている。
良かったです。

登場人物、とりわけ主役3人、いい面構え、目線の据わっていること。
ほんと大人の顔している。
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1910年大日本帝国による韓国併合から、第二次大戦で日本が無条件降伏をした1945年までの35年間、日本統治下にあった朝鮮。
日本帝国の支配に抵抗し上海で臨時政府を樹立し朝鮮独立をめざす者たち、時の権力と手を結び冨を手中に収めんとする親日派たち、そして抗日派と親日派の間を巧みに暗躍する者たち。

そして日本においては無条件降伏の時が、朝鮮にあっては独立解放の悲願の時であっただろうけれど、彼らの歴史を見ると日本統治下から連合国軍の軍政下におかれ、冷戦を背景に資本主義陣営(アメリカ合衆国)と共産主義陣営(ソビエト連邦)による朝鮮分割がいまも続いているという現実、彼らの背負ってきた歴史を見ると、この作品で描かれている独立運動に身を投じた者たちがどれほどの重みと思いを背負ってこの時代を闘かってきたか、そんな彼らに思いがいく。


「怖くないのか?」
「親日派の連中の一人や二人殺しても何も変らないだろう?」
そんな問いかけにチョン・ジヒョン演じる独立軍スナイパーのアン・オギュンは答える
「怖いわ」
「何も変らない。でも闘っているということを伝えなければ」


感傷に浸り、泣き言を言って立ち止まっている余裕も優しさも許されるような状況ではなかった時代
前に向かって歩き続けるという逞しさが、彼らのDNAに刻み込まれているのかも知れない。

胸に滾る思いはセリフではなく、映像に叩き付ける。
本作に限らず、韓国映画をみていると、映像に対する彼らの矜持のようなものを感じる。


独立軍が送り込んだ暗殺グループが日本政府要人と親日派の暗殺を企てる。
映画の山場は、1930年代の京城(現在のソウル)。日本統治の象徴とも言えるモダンな「三越百貨店」を舞台に繰り広げられる凄まじい銃撃戦。
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女スナイパー、アン・オギュン
そして彼ら暗殺グループの殺害を請け負ったハワイ・ピストルと飛ばれる殺し屋。

チョン・ジヒョンとハ・ジョンウ
上海のホテルのラウンジで敵同士と知らず偶然に出会った二人。
そして互いに銃を向け合う形で再会した二人。

映画「ベルリン・ファイル」では夫婦役を演じた二人。
ベルリン・ファイルでは妻を守りきれず死なせてしまったが、
本作では、惹かれるものもあっただろうし、そして同じ痛みを背負うものとして通じ合うものもあっただろう、かっこよくも彼女を守り抜く。

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この画像ってどういうシチュエーション?って思っていたけれど映画見て納得。
そして、ハワイ・ピストルが彼女と交わした最後の会話
「上海で会えるよ」
「どうして上海?」
「あそこで俺たち夫婦だっただろう」
こんなシンプルで淡々としたセリフに、苛酷な運命を生きる者にとってひと時の安らぎ、見果てぬ思いが切々と伝わってくる。
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余談だけど「ベルリン・ファイル」で妻役の彼女の亡骸を抱いて、弾かれたように、行く宛ても見えないまま荒野をひたすら走り続けるシーンは良かった。
「イングリッシュ・ペイシェント」で恋人の亡骸を抱いて泣きながら歩き回るシーンがあって、こんな風に男が泣きながらのシーンで様になるのはレイフ・ファインズなればこそだと思っていたけど、「ベルリン・ファイル」のハ・ジョンウのこのシーンはそれ以上。愛するものを守りきれなかった男の悔恨、絶望、言葉にできないほどの痛みがズームアウトした映像からひしひしと伝わってきた。
ハ・ジョンウ。
まったく彼の演技にはずれ無しって改めて思う。


そして臨時政府の警務隊長であり、日本政府の密偵でもあり、激動の時代をまんまと生き延びたヨム・ソクチンを演じたイ・ジョンジェ。
40過ぎのまだまだ筋肉質のスレンダー体型の彼が、国賊として問われる裁判では法廷で、60代という設定の身体を見事に披露し、身体に刻まれた傷はを独立軍戦士として如何に戦ってきたかの証とばかりにまくし立てるシーンは本作での見せ場だろう。
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この作品は、朝鮮の人達にとっては38度線を境に南北分断は今も尚続いている現実がある限り、決して過去の歴史を描いた作品ではないだろうと思う。
日本人よりもはるかに歴史に敏感だろうと思う。


しかし
見事にエンタテイメント作品として描ききっているのも立派。
前作「10人の泥棒たち」はちょっと人数多すぎない?って思ったけど、本作は主役3人それぞれのドラマが巧みに料理され、いい味を出している。

今週末にもう一度、おばと一緒に観に行ってきます。
ハ・ジョンウもいいし、チョン・ジヒョンがまたいいんよねぇ。

とにかく、みんな大人の顔してる!
オーバーアクションや表情をしなくても、
多くのセリフで語らずとも目線で語れる。
何よりもリアルな説得力がある。


マチ。
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# by machiiihi | 2016-07-25 14:22 | 映画