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マチの、映画と日々のよしなしごと

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タグ:映画:ア行 ( 33 ) タグの人気記事

映画「アシュラ」


韓国版「アウトレイジ」とでもいいましょうか。
生き残りをかけた血みどろの抗争劇。
そして
誰もいなくなった。
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悪徳市長パク・ソンべが牛耳るアンナム市。
再開発築の利権を巡り、パク市長の悪が渦巻く。
そんな市長の汚れ仕事を一手に引受け、殺人まで手を染めている刑事のハン・ドギョン。
その市長を検察庁送りにするために、ハン・ドギョンの弱みをネタに協力を強要する検事のキム・チャイン、そして実行部隊のドン・チャンハク捜査官。


末期ガンの妻の前では優しい夫の顔を見せるハン・ドギョン刑事。
入院費用を稼ぐ為に、パク市長の手先になり果ててしまったか!ハン・ドギョン。
しかも妻は市長と異母兄妹。
市長と検事の板挟みの崖っぷち。
生来は人情味のあるいい奴だったんでしょうね。
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ハン・ドギョン演じるチョン・ウンソ。
ここまでの汚れ役は初めて?!
43歳。
脂が乗ってきてますねぇ。

   

そんな彼を兄貴と慕う弟刑事のムン・ソンモ。

懐柔策でギョンモが市長の手先に引きずり込んだソンモ。
ギョンモのガキ扱いに刃向って、自分の居場所をつくらんと市長の悪事に自ら手を染めていくソンモ。



一方のキム検事も、ハン・ドギョンから悪事の証拠を手に入れられるかどうか。
上司の至上命令のカウントダウンに彼もまた瀬戸際ぎりぎりに追い込まれている。


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悪徳市長を演じたファン・ジョンミン。
ニコニコしながら、しかし目は冷たく鋭い。
誠実そのもの虫も殺さない優しい男から、極悪人までこの方はほんと化けますねぇ。
役そのものがこの方。
どの作品もそう。


崖っぷちに立った者たちの凄まじいまでのバイオレンス。
この形振り構わぬハイテンション、たたみかけていくハイスピード。
これぞ韓国映画のバイオレンス!
暴力シーンと食事シーンが同じ分量で描かれているのも韓国映画。
生きる為に食べ、そしてなにが何でも生残る。
このエネルギーがスクリーンに充満している。
カーチェイスの迫力ある臨場感は半端ない。

そして終盤
殺し屋たちの手に持っているのは鉈。
韓国映画は鉈なんですね。
殺陣の美学なんぞは蹴飛ばされて、
鉈でぶった切っていくのが韓国映画といっても過言じゃないでしょう。


えげつなさを感じるよりも、生き残りをかけた彼らの死に物狂いの必死さに圧倒されて、ただただスクリーンに釘付け状態。


案外と、ギョンモの弟分ハンモを演じたチュ・ジフンの存在が大きかったかも。
40代男たちの中にあって、30代のジフンの、すっとした所謂クールビューティな風貌が、暑苦しいまでのシーンの溶解剤ともいえるかも。
とはいっても、彼も殺人に手を染めるんですけどね。
そして最後はドギョンとの義兄弟同士のサバイバル。

やっぱり義兄弟の絆も強いんですねぇ、韓国社会では。

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チュ・ジフン君。
今までは身長187の長身とキレイどころの役が多かったけど、
「コンフェッション 友の告白」(2014)は犯罪映画のジャンルだけど、本作のようなバリバリのノワール映画は初めてじゃないかな。
車から突き落とすわ、車を猛発進させてひき殺すわの殺人をやってのけるなんてのも。
「私は王である」なんていうおバカ&コメディ路線系もなかなかのもんだったし(笑)、30代半ばを前にしての本作出演は大きな収穫だったでしょうね。


今までは脳裡に引っかかるほどの俳優ではなかったけど、
本作でちょっとその印象を新たにした。
どこまで化けていけるのか。
ちょっと楽しみ。
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ノワール映画というジャンルで、韓国映画は一つのスタイルを確立しつつあるような……。
そんな凄さを見せつけられた映画でもありました。
「アシュラ」


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Machi。

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by machiiihi | 2017-03-19 20:00 | 映画

映画「遊びの時間は終わらない」

こんな楽しい面白い映画があったんですねぇ
★★★★★

Netflixのリストを繰ってたら、
韓国映画「正しく生きよう」(2007年)って面白そうなタイトルがあって、
作品概要を読むと…
多発する銀行強盗で不安が高まる。
警察署長は信頼を得ようと強盗の予行演習を行うことに。
ところが超真面目な巡査のあまりにも完璧な演技で、演習は思わぬ方向へ……
なにやら面白そうな予感のする映画。


キャスティングなど知りたくてネット検索すると、
この作品は1991年公開の邦画「遊びの時間は終らない」のリメイク作品で、完璧な強盗役を演じる主役はもっ君こと本木雅弘。
しぶがき隊解散後、彼が本格的に役者活動を始めた頃の作品。

これはもっ君出てるこっちを見なければと検索すると、こちらもNetflixで配信してた。
横道だけど、ネットフリックスといい、フールーといい、動画配信サイトの最近の充実ぶり!

監督はタイトルだけは良く知っているけど見たことがない「難波金融伝・ミナミの帝王」シリーズの萩庭貞明監督。

キャスティングだけ眺めても面白そうな予感全開の面々。

もっ君この時25.6歳。

ええ目つきしてます。

ええ面構えしてます。


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この映画、ウィキペディアのストーリーをお借りするとこんな内容。

ある日、警察は国民のイメージ上昇を狙って筋書きの無い防犯訓練を行うことにした。しかし銀行強盗役に選ばれた警官・平田(本木雅弘)は、まじめで全く融通のきかない性格だった。彼は大真面目に強盗計画を立案して犯人役を遂行。すばやく平田を検挙するはずだった警官がドジを踏んで平田の持つモデルガンで撃たれ死人扱いとなってしまったことから、人質とともに銀行に篭城する破目に陥る。しかもこのことが、お祭り志向のディレクター(萩原流行)によってテレビ中継されることになってしまい、銀行の前には大量の野次馬が殺到。適当に落ちをつけてなんとか穏当に訓練を終わらせようとする警察の意図は次々とくじかれ、防犯訓練は前代未聞の先が読めない展開となってしまった。誰がどうやって幕を引くのか……

しかし、この映画の面白さはやっぱ映画観ないと分からないなぁ。

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もっ君が良かったのか、監督の演出が良かったのか、
三谷幸喜作品よりももっと素直にケラケラ思わず笑えたわ。



Machi。



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by machiiihi | 2017-03-10 15:58 | 映画

映画「お嬢さん」

思いっきりネタバレ

原題は「아가씨(アガシ)」…若い女性に対して使われる総称としてのお嬢さん。
そして英語タイトルは「侍女」を意味する「TheHandmaiden」。
そして邦題は曖昧に「お嬢さん」
タイトルも意味深な……

そしてこの映画。
R18指定ということもあってか、
「解禁された過激すぎる予告動画に話題騒然」とか、「狂おしい官能と欲望の罠。究極の騙し合い」とか「パク・チャヌク監督最新作にして衝撃作」とかとか、あれこれと煽ること。
こういう煽りは話半分と見ておきましょう。


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パク・チャヌク監督が描きたかったのは、
秀子とソッキがやってのける脱出劇じゃないかな。
時代は大日本帝国占領下の20世紀の朝鮮だけど、
これは21世紀版「テルマ&ルイーズ」(199年公開のアメリカ映画を持ち出すなんて古過ぎかしら?…笑)

映画「テルマ&ルイーズ」の二人は追い詰められ手に手をとって断崖に向かって死のダイブ
リアルタイムで劇場でこの映画を見ていた私は、20世紀の女たちはこんな形でしか自らを解放できないのかしらと、男が描いた女の映画に無性に腹が立って、以来この映画は私の中ではお蔵入り。


しかし、21世紀になってパク・チャヌクが仕掛けた本作。
秀子とソッキは、
歴史の表舞台で彼らが脈々と築き上げてきた手垢に塗れ爛れきった欲望にしがみつく男たちを尻目に、
したたかに、しなやかに、歪められ抑えられ続けてきた世界から自らを解き放つ。
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一糸まとわぬ姿で愛を確かめ合う秀子とソッキ。
それは秀子にとって伯父によって強いられ続けてた自身を剥ぎ取った姿。
生まれたままの姿であることに意味がある(と思います)。



秀子を演じたキム・ミニは170cmで手足の長いモデルスタイル。
侍女ソッキ役の新人女優も同じ身長くらいでしょうか。
スレンダーな肢体の二人が全裸で絡むシーン、二人の肢体の美しさを見せるこの構図はエロチックで肉感的では決してなくって、女の渡しにとってはむしろ美しい。


彼女たちが生き生きと際立ってくるのと対象的に、
男二人はくすんでいく。
最後は地下室で煙にくすぶって息絶える。 


してやったっり!
解放感にあふれた喜びを全身であらわすかのような、二人が全裸で見せる愛の交歓シーンもまた美しい。


詐欺師の伯爵によって嬢様を騙す為に侍女として差し向けられたソッキ。
しかしソッキの本当の役割は、牢獄のようなこの屋敷から脱出する為の秀子の身代わり。
仕掛けたのは伯爵と称する詐欺師。

二人が互いの愛に目覚めた時から、物語は原作をはなれ、映画的(といっていいでしょう)な展開を見せる。
この展開は原作以上に面白い。

しかし、しかし、
騙してるはずが騙されている。
そんな展開も原作同様に面白いのだけれど、
いかんせん145分は長すぎる。
それぞれの視点で語るという展開もどうかすると冗長すぎる。
小説ならいざ知らず映画の語りの巧みさを見せて欲しかったところ。
30分、いや10分でも短くまとめて欲しかったところでもある。


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19世紀のロンドンを舞台にしたサラ・ウォーターズの「荊の城」を原作に、舞台を第二次大戦終了まで35年間続いた日本統治下の朝鮮に置き換えた本作。
秀子という存在、彼女が置かれた境遇はそんな時代の朝鮮そのものともいえないだろうか。
そして終盤の爽快なまでの彼女たちがやってのけた爽やかで痛快なまでの逃亡劇。

出演者が話すセリフの半分は日本語で占められている。
決して流暢とは言えない彼らが話す日本語のセリフ。
日本語で語るということ、それ自体にもパク・チャヌクが本作で意図したことだろう。

こんな風に読み取るのは決して穿った見方ではないでしょう。


しかし、韓国の女優たちってほとんどが170cmのスレンダーな体型は、羨ましいくらいに美しい。
秀子を演じたキム・ミニ。
宮部みゆき原作の韓国映画「火車HELPLESS」を見たときは、変った顔の女優だな、いわゆる美人ではないけれど、ファムファタール的な役を演じきれる女優だなという印象を持った。
私のイメージは気位の高い野良猫。

そんなキム・ミニとは違って、ソッキを演じたキム・テリは、どちらかというと国民的美少女といった容貌
ネコよりも犬タイプ、かな。
今回の役はオーディションで1/1500の競争率で選ばれたとか。


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この映画、好き嫌いの評価が分かれるかもしれない作品かも。
私は尺の長さは横に置いて、
女優二人の脱ぎっぷりの良さも加算して彼女たちあっての本作。
高評価です。

輝いてた女優二人に乾杯で
★4つ★★★★☆


マチ








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by machiiihi | 2017-03-06 11:10 | 映画

映画「網に囚われた男」


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キム・ギドク監督の最新作ということでも、
漁師役の男を演じるのがリュ・スンボムということでも、
そしてなにより作品を通してキム・ギドクが描こうとした南北分断という現実に興味ありで、週末、公開初日真っ先に見に行ったのが本作。

北朝鮮で妻と娘と3人で漁師をしながら慎ましやかに暮らしている一人の男が、船の故障で流され韓国側に越境。スパイ容疑で苛酷な取調べを受け、亡命を強要されるも頑なに拒み、無事に帰還を果たすも、北朝鮮側からも南側に洗脳されたのではと危険視され……南北分断がもたらす不条理というにはあまりにも苛酷な現実に巻き込まれた一人の男。


見終わった感想は、切実に重かった。
南北分断とか、不条理なといった、そういった言葉が蹴っ飛ばされるほど、切実に重かった。
見応えの手応えのある重さ。
そしてキム・ギドク監督が突きつけたものの重さ。
一人の人間の人間としての尊厳の重さ。
映画作品として語るにはリアルに重い。


南北分断がもたらす不条理な現実の真っ只中に立たされた1人の男を演じたリュ・スンボムが見せた重さでもあるだろう。
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リュ・スンボム
演じるごとに違う顔を見せるリュ・スンボム
イケメンでもないのだけれど、観ているものを惹きつけて離さない魅力を持っている(と私は思う)。


兄であるリュ・スンワン監督の「生き残るための3つの取引」(2010)では野心むき出しの地検の検事。

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東野圭吾原作の韓国版映画「容疑者X~天才数学者のアリバイ」(2012)では孤独な数学者。日本版「容疑者Xの献身」では堤真一が演じた役。
切実に説得力があって、感情移入できたのは韓国版の方。リュ・スンボム演じる男が抱える孤独、だからこそ彼が見出した小さな光、そんなこんながリュ・スンボムという一人の男を通して切実に伝わってくる。
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「ベルルン・ファイル」(2012)では、冷酷な北朝鮮保安観察員。終盤、北朝鮮情報員役ハ・ジョンウとみせた凄まじい格闘シーン。
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「人類滅亡計画書」(2012)ではごくごく普通の平凡な男性→突如凶暴性を発揮する男→ゾンビ
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そして本作
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観るべき映画。
切実にそう思う映画。



Machi。





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by machiiihi | 2017-02-25 22:00 | 映画

映画「イレブン・ミニッツ」

女たらしの映画監督、やきもち焼きの夫、刑務所から出てきて間もないホットドッグ屋、強盗に失敗した少年など、現代の大都会で事情を抱える11人の男女と1匹の犬。午後5時から5時11分まで、わずか11分の間にそれぞれの人生が絡み合い……。
11分の間の出来事という設定と予測不能なラストが見どころ。
というのがこの映画のキャッチ

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監督はイェジー・スコリモフスキー。
ロマン・ポランスキー監督作品で、私のお気に入り映画の一つ「水の中のナイフ」の脚本家でもあり、
前作のヴィンセント・ギャロ主演の「エッセンシャル・キリング」なども私の好きなテイスト。


で、本作
う~ん、
どう観ようかな~~
監督の実験的な取り組み、意欲作ってところなのかな。


ただ、予測不能ってことなんだけど、
まぁ、日常よくあるちょっとした、どっちかいえばお笑いネタにでもなりそうなことが引き金で連鎖反応を引き起こす……
予め決められた(もちろんフィクションだからストーリーに則ってるわけなんだけど)というか、とってつけたようなラスト展開で……
思わせぶりっぽいのも、なんだかなぁ。
って、そんな風に私には見えてしまいました。


私的にはポール・トーマス・アンダーソン監督の「マグノリア」(1999年)
ロサンゼルスを舞台に、一見関係のない男女9人の24時間を描く群像劇で、突如カエルの雨が空から降ってくるというラスト。それが引き金で、彼らの凝り固まって人生が、時間が突如風穴があいたように揺れ動かされるという、なんとも衝撃的な幸福とも呼べるこんなのは好きだなぁ。
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それからアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの初監督作品「アモーレスペロス」(2000年)
無関係な3つの物語が、突然の交通事故によって重なり合う……
これは大好き。
発展途上国のメキシコで制作費200万ドルでこのクオリティー!
やっぱりハリウッドもいいけど原点に戻って映画制作をって思ってしまう。
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マチ。
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by machiiihi | 2016-08-29 10:13 | 映画

映画「暗殺」

日本統治下にあった自国の歴史、時代を生きた者たちの声無き思いを丁寧に描きつつ、かつ堂々のエンタテイメント作品。
激動の時代を背景にした人間ドラマは、やはり血が騒ぐものがある。


セリフはいたってシンプル。
ごちゃごちゃとヒューマンチックな薀蓄語らず、熱き思いを映像に叩きつけている。
良かったです。

登場人物、とりわけ主役3人、いい面構え、目線の据わっていること。
ほんと大人の顔している。
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1910年大日本帝国による韓国併合から、第二次大戦で日本が無条件降伏をした1945年までの35年間、日本統治下にあった朝鮮。
日本帝国の支配に抵抗し上海で臨時政府を樹立し朝鮮独立をめざす者たち、時の権力と手を結び冨を手中に収めんとする親日派たち、そして抗日派と親日派の間を巧みに暗躍する者たち。

そして日本においては無条件降伏の時が、朝鮮にあっては独立解放の悲願の時であっただろうけれど、彼らの歴史を見ると日本統治下から連合国軍の軍政下におかれ、冷戦を背景に資本主義陣営(アメリカ合衆国)と共産主義陣営(ソビエト連邦)による朝鮮分割がいまも続いているという現実、彼らの背負ってきた歴史を見ると、この作品で描かれている独立運動に身を投じた者たちがどれほどの重みと思いを背負ってこの時代を闘かってきたか、そんな彼らに思いがいく。


「怖くないのか?」
「親日派の連中の一人や二人殺しても何も変らないだろう?」
そんな問いかけにチョン・ジヒョン演じる独立軍スナイパーのアン・オギュンは答える
「怖いわ」
「何も変らない。でも闘っているということを伝えなければ」


感傷に浸り、泣き言を言って立ち止まっている余裕も優しさも許されるような状況ではなかった時代
前に向かって歩き続けるという逞しさが、彼らのDNAに刻み込まれているのかも知れない。

胸に滾る思いはセリフではなく、映像に叩き付ける。
本作に限らず、韓国映画をみていると、映像に対する彼らの矜持のようなものを感じる。


独立軍が送り込んだ暗殺グループが日本政府要人と親日派の暗殺を企てる。
映画の山場は、1930年代の京城(現在のソウル)。日本統治の象徴とも言えるモダンな「三越百貨店」を舞台に繰り広げられる凄まじい銃撃戦。
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女スナイパー、アン・オギュン
そして彼ら暗殺グループの殺害を請け負ったハワイ・ピストルと飛ばれる殺し屋。

チョン・ジヒョンとハ・ジョンウ
上海のホテルのラウンジで敵同士と知らず偶然に出会った二人。
そして互いに銃を向け合う形で再会した二人。

映画「ベルリン・ファイル」では夫婦役を演じた二人。
ベルリン・ファイルでは妻を守りきれず死なせてしまったが、
本作では、惹かれるものもあっただろうし、そして同じ痛みを背負うものとして通じ合うものもあっただろう、かっこよくも彼女を守り抜く。

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この画像ってどういうシチュエーション?って思っていたけれど映画見て納得。
そして、ハワイ・ピストルが彼女と交わした最後の会話
「上海で会えるよ」
「どうして上海?」
「あそこで俺たち夫婦だっただろう」
こんなシンプルで淡々としたセリフに、苛酷な運命を生きる者にとってひと時の安らぎ、見果てぬ思いが切々と伝わってくる。
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余談だけど「ベルリン・ファイル」で妻役の彼女の亡骸を抱いて、弾かれたように、行く宛ても見えないまま荒野をひたすら走り続けるシーンは良かった。
「イングリッシュ・ペイシェント」で恋人の亡骸を抱いて泣きながら歩き回るシーンがあって、こんな風に男が泣きながらのシーンで様になるのはレイフ・ファインズなればこそだと思っていたけど、「ベルリン・ファイル」のハ・ジョンウのこのシーンはそれ以上。愛するものを守りきれなかった男の悔恨、絶望、言葉にできないほどの痛みがズームアウトした映像からひしひしと伝わってきた。
ハ・ジョンウ。
まったく彼の演技にはずれ無しって改めて思う。


そして臨時政府の警務隊長であり、日本政府の密偵でもあり、激動の時代をまんまと生き延びたヨム・ソクチンを演じたイ・ジョンジェ。
40過ぎのまだまだ筋肉質のスレンダー体型の彼が、国賊として問われる裁判では法廷で、60代という設定の身体を見事に披露し、身体に刻まれた傷はを独立軍戦士として如何に戦ってきたかの証とばかりにまくし立てるシーンは本作での見せ場だろう。
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この作品は、朝鮮の人達にとっては38度線を境に南北分断は今も尚続いている現実がある限り、決して過去の歴史を描いた作品ではないだろうと思う。
日本人よりもはるかに歴史に敏感だろうと思う。


しかし
見事にエンタテイメント作品として描ききっているのも立派。
前作「10人の泥棒たち」はちょっと人数多すぎない?って思ったけど、本作は主役3人それぞれのドラマが巧みに料理され、いい味を出している。

今週末にもう一度、おばと一緒に観に行ってきます。
ハ・ジョンウもいいし、チョン・ジヒョンがまたいいんよねぇ。

とにかく、みんな大人の顔してる!
オーバーアクションや表情をしなくても、
多くのセリフで語らずとも目線で語れる。
何よりもリアルな説得力がある。


マチ。
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by machiiihi | 2016-07-25 14:22 | 映画

映画「AMY」

2011年7月23日、薬物過剰摂取により27歳で死去したイギリスの歌手エイミー・ワインハウスのドキュメンタリー。
監督はアイルトン・セナのドキュメンタリー「アイルトン・セナ 音速の彼方へ」のアシフ・カパディア。
エイミー・ワインハウスという一人の女性を真摯に描いた本作も素晴らしい作品。


エイミーの音楽
彼女の歌声
歌うことが大好きで、尖った気性の一人の少女が、スターへと持ち上げられ、
どんどん彼女が切り裂かれ、壊れていく映像、
それでも変らぬ彼女のソウルフルな歌声
エイミー・ワインハウスという、歌姫と呼ぶべき一人の女性の27年間の短い人生が濃密に描かれている。


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彼女にドラッグを教えた恋人や、そして血と親もだろう。エイミーという金のなる木に群がる人々についてはあえて触れずにおこう。


彼女の素晴らしい歌と声が穢されるから。
そう思える映画だった。

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マチ。
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by machiiihi | 2016-07-19 10:09 | 映画

時間を巻き戻して…「王の運命~歴史を変えた八日間~」そしてソ・ジソブのことなどを少し

時間を巻き戻して、書き綴りましょう。



「王の運命~歴史を変えた八日間~」
イ・サン役でソ・ジソブが出ているって言うんで公開直ぐに観に行った。
もう一月も前のこと。
観た映画をせっせっせとブログアップする気も失せてきた、というより、立ち止まって、あ~だこ~だって映画を語らずともいいやんか~って気分のこの頃。
そんなん書いてる時間あれば、ソ・ジソブを眺めていようと、早い話がミーハーするのに忙しくって……(笑)


「王の運命~歴史を変えた八日間~」
李氏朝鮮21代国王である英祖と、父でもある英祖によって、米櫃に閉じこめられ餓死した王位継承者である世子。父が閉じ込められた米びつに縋り、祖父である王に泣きながら許しを乞った幼きイ・サン。祖父に継いで第22代王正祖となり、ジソブが登場するラストシークエンスは10分間にも満たないんだけど、父の墓前で涙し、汚名を濯ぎ、父をしのび舞う姿、そしてジソブの悲哀を帯びた目が、作品に静謐と重厚感を与えたんじゃないかしら。
ラスト数分間だけでも、これだけでも充分に満足っていってもいいほど。

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世子役のユ・アインも頑張ったけど
ちょっといささかエキセントリック過ぎて
ソン・ガンホ相手に余裕がないって感じだったなぁ。

そしてラストに登場のソ・ジソブ。
祖父であり先王でもあるソン・ガンホと並んでも存在感ありました。
「本作は世界に名の知れた韓国実力派のベテラン俳優ソン・ガンホという大俳優の映画。自分が最後を飾るのは負担だったからという理由でノーギャラ出演を取り付けたうえで、出演を決めた」とか。

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で、こんから6月、7月は一人勝手にソジソブ祭りしてました。
ちょうどBS朝日でドラマ「主君の太陽」(全17話)がまたまた集中放送してたしね。
ネットフリックスやらアマゾンプライムビデオやらHuluやらを駆使して過去作品を集中視聴。
重たい重たい「カインとアベル」(2009年/全20話)や終盤は涙涙の「ごめん、愛してる」(2004年/全16話)
映画「ただ君だけ」はサンマルクカフェで充電しながら、友人と二人イヤホンを片方ずつつけて私の iPhone6s Plusで集中視聴。最後は二人で鼻をぐつぐつすすりながら、こんなラブストーリーにええ気分で帰路につくという、とっても素敵なこんなひと時。
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「映画は映画だ」は映画作品としても好きだし、監督やスタッフのインタビューなども特典映像【本編とは別のディスク)としてあったのでDVD購入したので、まぁ見直すことったら!
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目下、映画「軍艦島」を撮影中だとか。
軍艦島と呼ばれる端島。
映画「007スカイフォール」で廃墟の島デッド・シティのモデルとしても話題となった島。
2015年に世界遺産に登録されたけれど、労働力として日本の統治時代下の朝鮮人や中国人捕虜の強制連行・強制労働という負の歴史も背負っている。集団移入による採鉱夫のほとんどが朝鮮人に置き換えられたという。朝鮮人労働者は納屋、中国人捕虜は端島の南端の囲いの中にそれぞれ収容されたという。
そんな端島で、強制徴用された挑戦人たちが、命をかけて脱出を敢行する物語を描いた作品。
彼らがどのように描こうとしているのか分からないけれど、日本にとっては、しかし、向き合わないといけない歴史の事実でもあるだろう。
公開されたら観に行くつもりでいる。


今までの韓国映画って、日本で公開される映画だけしか知らないけれど
「自らを語る」というところから、日本統治下における自ら、歴史の中の自らを語り出した。
そういうレベルまで韓国社会は映画という世界においても成熟、いや、そこまで追いついてきたんだと思う。

そうなると、
キャラとキャラがホンネでぶつかり合い、そしてエンタテイメントに徹して描ききる韓国映画のパワーはますます面白くなるだろうって、そんな気がするなぁ。



マチ。
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by machiiihi | 2016-07-12 10:57 | 映画

再び「暗殺・リトビネンコ事件」

昨晩から今朝にかけて報道されていた「殺害にプーチン氏関与の疑い」のニュース。


「殺害にプーチン氏関与の疑い 英報告書にロシア反発
イギリスに亡命したロシアの治安機関の元職員が10年前に放射性物質によって殺害された事件を調べてきたイギリスの調査委員会は、プーチン大統領が事件に関与した疑いがあるという報告書をまとめました。」というもの。

→こちらの記事

もう8年前になるんですねぇ。
2008年2月に観たドキュメンタリー映画「暗殺・リトビネンコ事件」がそう。

ずっと調査されていたんですね。
この事件も含め、イギリスとロシアの関係
どうなるのでしょう。
ネットやメディアを通しての情報だけですが、見ていきたいものです。

Machi。
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by machiiihi | 2016-01-22 16:03 | 映画

映画「ある過去の行方」

これもwowow視聴。
録画したままだったのが、ようやっと視聴。


こういう、気持ち的にしんどい作品をわざわざ映画館まで観に行こうというタフさが最近薄れてきている。
とはいってもハネケ作品だったらテーマがどんだけ重たくっても観に行くんですけどね。

どうもね
アスガー・ファルハディ監督のって、観ながらしんどさ感じるんよね。
相性もあるのかしら。

本作品も、登場人物たちそれぞれの動きをずっと見守り続ける役割を観る側は背負わされ、一瞬たりとも目を逸らさせない手腕はさすがなんですけどね。
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一人の女性と二人の男性。
そして大人たちの間で揺り動かされる子供たち。
フランス人の妻マリー=アンヌと別れて4年。
今はテヘランに住むアーマドが正式な離婚手続きをとるためにパリに戻ってくるが、マリー=アンヌはすでに新しい恋人サミールと彼の息子、娘たちと新たな生活をはじめていた。
しかし、娘のひとりがアーマドに告げた衝撃的な告白から、妻と恋人、その家族が背負う過去と明らかにされなかった事実が次々と浮かび上がる――。



見ていて苛つくの
マリーの言動に
あれこれ突っ込みたくなる

そこまで言うか?!…
それでいて、妙に口をつぐんでしまうし…
ちょっと自分本位過ぎないか 今のセリフ…
怒る前に、ペンキの缶を床に置きっぱなしにするなよな…
吐き出したアンタはいいけど、吐き出されたこっちはどうなんよ…
あれこれ……
ヨーロッパ映画とりわけフランス映画なんかみていると、こういう突っ込みいれたくなる経験が何度かある。
そこまで言うからこうなるんだろう
そこまで言ったらもうお終いよって
こんな風に思うことも良くある。
これって国民性の違いなのかしらって思っていたけど
やっぱりそうみたいね。
これを読んで納得!
そうなんだ~
「ほぼ日刊イトイ新聞 - バブー&とのまりこのパリこれ!」から、「言いたいこと言って喧嘩してもだいじょうぶ?!」


とはいってもね、観ていると無理やり男と女のズレやトラブル状況を作り出しているみたいな……
テーマはそういうんじゃなくって、私のは枝葉末節なんだろうなって思うけど……

案外と作り手側の意図としては、見る側が感じるこういう理不尽さを描き出そうとしてるんだろうけど…
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じっと最後まで観てしまったけど、
作品の良し悪しどうこうよりも、やっぱり、あまり好みではないって、いうより苛ついてしまうなぁって、
見終わって改めて思った。
相性が合わないってことにしておこう。
以降も気になる役者が出ていれば見るでしょうけどね。
今回も、「アーティスト」で高く評価されたベレニス・ベジョがマリー役でカンヌ映画祭女優賞を受賞したということで見た作品。


Machi。
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by machiiihi | 2015-11-19 11:43 | 映画