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マチの、映画と日々のよしなしごと

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タグ:映画:カ行 ( 19 ) タグの人気記事

映画「群盗」

いやぁ~
久々に活劇の面白さを堪能。

カン・ドンウォン演じる剣の達人ユンが見せる流麗なる太刀捌き。
対するハ・ジョンウ演じる屠畜人トルムチは両手に肉切り包丁。
カン・ドンウォン186cm、ハ・ジョンウ184cm
このガタイがみせる立ち回りは、動きも大きく迫力あるしアクションとしても美しい。
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竹林での格闘シーンが美しい。
チャン・イーモウ監督「LOVERS」でも竹林での格闘シーンは美しかったけど、
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本作もなかなかに見応えあり。
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「悪いやつら」のユン・ジョンビン監督が、ハ・ジョンウとカン・ドンウォンを主演に迎えて贈る歴史アクション活劇。愛する家族を殺されたと畜人の男が、義賊の群盗に加わり、両手に持った肉切り包丁を武器に剣の技を磨き、剣豪の悪徳武官への復讐に立ち上がるさまを描く。朝鮮王朝末期の1862年。一部の官僚や貴族が富を独占し、貧しい民は搾取と弾圧に苦しめられていた。そんな中、と畜人のトルムチは、極悪非道な世継ぎ争いを繰り広げる剣豪の武官ユンにある女の暗殺を命じられ、それに失敗すると、逆に愛する母と妹を殺されてしまう。自分も危うく命を落としかけたところを、義賊団のチュソルに助けられ、彼らの仲間となる。そしてユンへの復讐を胸に武術の修行に励み、ついにその時を迎えるトルムチだったが…。
<allcinema>



この映画
見ているうちに極悪非道なユンの方に感情移入してしまう。
頭脳明晰かつ武芸に秀でるも、庶子であるがため要職に就く道は絶たれ、
父親の愛を渇望するも得られず、
彼もまた階級社会がもたらす不条理な力に翻弄された哀しい存在といえるだろう。
彼が修羅のごとき形相になるほどに悲哀が色濃く漂ってくる。
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そんなユンと比して
持つべきものを持たぬ者たちは
社会の枠を飛越えてアウトローとして生きていく
生きるも自由、死ぬも自由。
荒野を馬を駆るラストシーンなんてまさに西部劇。
アウトローの世界。

だからこそ
ユンという人間に象徴される、時代に囚われ翻弄され己を引き裂かれた者の悲哀が際立つ。


美しき冷血漢極悪非道のユンを演じるカン・ドンウォン。
彼って美しいだけって思っていたけど、本作見て役者としての彼をあらためて見直した。

ユン監督自身
「カン・ドンウォンを映画で見て悪役をしてもとても素敵だろうと思った。悪役としてカン・ドンウォンをきちんと作ってあげたいと思った。それでハ・ジョンウのスキンヘッドから映画を構想した時、台本が出る前にカン・ドンウォンに会ったし『こういう映画だけど、悪役をするととてもかっこいいと思う』と言ったら『後で台本を見せてください』と好奇心を見せた。それで後から台本を渡し、出演することになった」とのこと。
さらに、
非常にいい俳優だが、ビジュアルに長所が隠れた感じというか。俳優としてルックスのせいで過小評価される部分があると思った」とも語っている。

兵役についていたカン・ドンウォンが除隊後のスクリーン復帰作が本作とのこと。
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活劇見た~って思える作品
スクリーンで観たらもっと見応えあったでしょうね
まだこの頃はまだまだ斜交いに韓国映画を見ているところもあったし、
とりわけ美しい男優を持ってこられたら、それだけで映画作品的に疑心暗鬼になってしまうところがあったからね。
だから本作のようにカンドンウォのその涼やかともいえる美しさが、物語に悲劇性をもたらし活劇だけに終らないドラマに仕上がっているのは、監督の手腕でもあるだろう。



マチ。
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by machiiihi | 2016-08-09 14:53 | 映画

映画「帰ってきたヒトラー」

1945年4月30日に自殺したアドルフ・ヒトラーは、自殺直前の記憶だけを失った状態でベルリンの空き地で目を覚ます。ヒトラーは戦争指導に戻るため総統地下壕に向かおうとするが、ベルリンの人々が自分を総統と認識していないことに疑問を抱く。ヒトラーは情報を得るために立ち寄ったキオスクで、自分がいる時代が2011年のベルリンであることに気付き衝撃を受け、空腹と疲労が重なりその場に倒れ込んでしまう。……


本作を息子と観に行ったのが、イギリスがEUから離脱するか残留するかの国民投票当日で、離脱が判明したというそんなところだから、まったくタイムリー。

ラストシークエンスでは、今の現状に不満を持っている人たちの声も。
そしてヒトラーなる男に敬意を表する人たちも。

こういう作品を、
単にヒトラー=悪という型どおりの図式ではなく、ヒトラーが台頭した歴史的背景、そして今の現状をきちんと押さえ込んだ上で、ヒトラーとあの時代と向きあっている。
ドイツという国が、ドイツ国民が、ヒトラーと、彼らが生み出したあの時代ときちんと向き合ってきたのだろう。
だからこそ、ここまで踏み込んだ映画が撮れたのだろう。
思わず笑ってしまうけれど
笑ったすぐ後から、その笑いに隠された本来にぞっとする。

21世紀
観るべき映画!
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果たして日本は
何を語れるのだろうか。
毎年のように靖国という言葉が出てくるというのに……


マチ
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by machiiihi | 2016-07-12 13:30 | 映画

映画「カルテル・ランド」

終了真近の本作。
迷ったけど、やっぱり観に行くことに。

人が集まり、人々のエネルギーによって力が生み出され、そして、その力は集団の中で増殖、肥大化し、そこから新たな力関係が、欲望が、権力闘争が、そして新たな暴力が生み出される。
仲間内の小さな小競り合いから、果ては国家間の戦争まで、人類の歴史は、悪だの正義だのと言いながらも結局は戦いに明け暮れる……

そんな現実を垣間見せられた映像。
キレイ事では語りえない現実。
ここで描かれたものが全てとはいえないけれど、一つの現実であることは確かだろう。
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「ハート・ロッカー」のキャスリン・ビグロー監督が製作総指揮を手がけ、2006年から続くメキシコ麻薬戦争の最前線をとらえたドキュメンタリー。
メキシコ、ミチョアカン州の小さな町の内科医ホセ・ミレレスは、地域を苦しめる凶悪な麻薬カルテル「テンプル騎士団」に対抗するべく、市民たちと蜂起する。
一方、コカイン通りとして知られるアリゾナ砂漠のオルター・バレーでは、アメリカの退役軍人ティム・フォーリーが、メキシコからの麻薬密輸を阻止する自警団「アリゾナ国境偵察隊」を結成。
2つの組織は勢力を拡大していくが、やがて麻薬組織との癒着や賄賂が横行するようになってしまう。
若き映画監督マシュー・ハイネマンが決死の覚悟で取材を敢行し、メキシコ社会の実態を明らかにしていく。2016年・第88回アカデミー長編ドキュメンタリー賞にノミネート。(映画.comより)



で、
唐突なんだけど、
スティーブン・ソダーバーグよ、
「トラフィック」(2000年)で、よくぞあそこまで切り込んで描いたなと、今更ながら思う。
麻薬撲滅担当の大統領補佐官に就任したオハイオ州のロバート・ウェークフィールド判事のいるアメリカの首都・ワシントンD.C.
麻薬密輸の仲介を一手に担う売人のいるカリフォルニア州南部。
そして、アメリカとの国境にあり、麻薬供給ルートの中継地点となっているメキシコ最北端の都市・ティファナ。
麻薬密輸とそれをなくすための戦いに関わる人々を描いたそれぞれの物語が同時進行で描かれる。
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メキシコ社会に巣食う貧困、そこから生まれる犯罪、警察内部も賄賂が公然と罷り通る。麻薬カルテルと癒着した軍隊。
ベネチオ・デルトロ演じるメキシコ州の麻薬捜査官が、アメリカ側の捜査チームに情報と引き換えに要求したのは野球場の照明。
煌々と照明のついた明るい球場で、子供たちは暗闇の中の犯罪に手を染めず、白球を追い求める。

本作観てたら「トラフィック」観たくなった。


Machi。
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by machiiihi | 2016-05-30 09:06 | 映画

映画「完全なるチェックメイト」

冷戦下の1972年に行われたチェス世界王者決定戦においてソ連の世界チャンピオン、ボリス・スパスキーに挑むアメリカ人挑戦者、ボビー・フィッシャーを描いた映画。
彼については以前に「天才 ボビー・フィッシャーの闘い~チェス盤上の米ソ冷戦~」(NHK BS・ 2014年5月15日)で放映されとても興味深かったこともあり、
ボビー・フィッシャー役にトビー・マグワイアということで、彼ならば…っていう気もあり、
彼は本作の監督であり脚本も手がけたエドワード・ズウィックとともに製作にも関わっていたんですねぇ。


原題は「Pawn Sacrifice」
ポーン (Pawn、♙♟) はチェスの駒の一種で、歩兵を表す言葉
Sacrificeは犠牲の意。
意味深なタイトル。
まさに本作を的確に言い得ている。



久々に、じっくりと、瞬きせずにスクリーンを見つめ続けた映画でした。
かつて
スティーブ・マックィーン主演の「シンシナティー・キッド」といい、ポール・ニューマン主演の「ハスラー」といい、一瞬の気の緩みも命取りになる息詰まるような緊迫感ある試合をじっくりと描いた映像にスクリーンに釘付けにさせられた。
対局する二人をじっくりと描いた作品。
それだけで観るものスクリーンから目を逸らさせなかった。
そんな映画をみたいものだってずっと思っていた。
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トビー・マグワイア!!

そして
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対戦相手のスパスキーを演じたリーヴ・シュレイバー

そして
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ピーター・サースガード


キャストがそれぞれに良かった。
役者一人一人のクオリティーが問われる映画でしょう。


年末にじっくりと楽しめた映画に出会えて
2015年に感謝!

今日で今年も仕事納め。
といってもお掃除以外はやることなしなんだけど
でも今年も元気で働けて、来年もそうありたいと思う師走のこんな日。


Machi。

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by machiiihi | 2015-12-28 10:00 | 映画

映画「コードネーム U.N.C.L.E.」観ましたけど……

ちょっと期待して観に行ったんだけど……
ガイ・リッチー監督の前作「シャーロック・ホームズ」がなかなかに面白かったので、本作もって期待したんだけどね。
だって、子供の頃に気に入って観ていたTVドラマ「0011ナポレオン・ソロ」だもの。
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真ん中におられる方も懐かしい!
本作ではヒュー・グラントがこの役に就任なんだ。
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オープニングもエンディングも60年代のあの小気味よい軽快なテンポで、これは気に入ったわ。
でも
なぜか
本編が、本編だけが
何ゆえ、重い?
重厚な重さではなくって、あえて言うなら鈍重な重さ。
コミカルな設定も随所にあるんだけど、
ちっとも明るく映らないの。

主役2人がどうも真面目すぎる?
映像に活気ある生命吹き込む、そんな色気がないのよねぇ。
主役2人のどちらにも。

「シャーロック・ホームズ」はロバート・ダウニー・Jrがいて、彼がジュード・ロウにも光らせた。
私にはそう思われた。
あれがホームズ役をジュード・ロウがしていたらさほど面白い作品にはなっていなかっただろうなって思う。
だって、ジュード・ロウってあの瞳で美形だけど、役者としてはどうも色気は感じないもの。


脚本も手がけたガイ・リッチーの突っ込み不足もあるだろうなぁ。


映画料金それも割引価格分ね
それぐらいかな。
まぁ、こんなもん?ってところ
★★★
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*またまたお写真お借りしてます。



Machi。
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by machiiihi | 2015-11-21 22:00 | 映画

映画「黒衣の刺客」

シルバーウィーク3/5は映画三昧と参りましょうと思っていたけど
結局見たのはカンヌ映画祭で監督賞を受賞したホウ・シャオシェン監督の「黒衣の刺客」だけ。映画三昧っていったところで、他に何をっていっても「テッド2」ぐらいってのも淋しいなぁ。


この作品には妻夫木君も出てたのね。
allcinemaによると、「日本公開に当たっては、ホウ監督の希望により、日本での撮影シーンを追加した“日本オリジナル・ディレクターズカット版”での上映となる。」ってあるけど、
それでかしら。編集段階でかなりカットされたみたいに思うし、無理やり入れたシーンもあったような。
鏡磨きの日本人青年って役みたいだけど、彼でなくても良かったみたいだし、ここで遣唐使かなんだか知らないけど日本人青年っていう必然性があるのかな?って思えたのね。
まぁ、これは蛇足ということで……


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物語は、早い話が、中国版「ニキータ」って言えば実も蓋もないかしら。
私は刺客の標的になるチャン・チェン目当てに観に行ったって言ってもいいかな。
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それぞれの情景は一つ一つが美しかった。
全くカンヌが好みそうな絵柄、映像世界だわねぇって思いながら眺めてました。
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どこからか、気持ちよく寝てられるのか、規則正しいいびきが聞こえてきたのには微笑ましい。海外の映画祭、特にカンヌ映画祭なんかの受賞作品では、30分もしないうちに寝息が聞こえてくるのはいつものことみたい。



Machi。
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by machiiihi | 2015-09-28 13:48 | 映画

映画雑感その2「彼は秘密の女ともだち」

久々のオゾン作品。
コブつきで帰省した娘が「オゾンの今度の作品、面白そうね」って言われて、思い出した。
公開されたら観に行かなくっちゃって思っていたのに、あん時の暑さで脳がふやけてすっかり失念。
娘と二人になったおチビチャンを新大阪まで見送った帰りに、解放されたウキウキ気分で上映映画館まで。

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オゾン作品には、雰囲気違うテイストってかねがね思っていたロマン・デュリスがメイン・キャストってことにもちょっと意外で、興味ありの1つ。
オゾンがどんな風に彼を料理しているのか……
ロマンがどんな味を醸し出しているのか……
オゾンもここらでちょっと新味が欲しかったのかしら。


映画評なんかを読むと「自分らしく生きる勇気を問いかける作品」とかって書かれているけれど、
まぁ、そうも言えるだろけど
悪かぁないけど、
これはオゾンの余興としておきましょう。



マチ。
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by machiiihi | 2015-09-15 09:54 | 映画

映画「キングスマン」

まぁ!映画「シングルマン」を彷彿させるようなびしっとスーツ姿も決まったコリン・ファース。
イギリスの階級社会や、エリート集団MI6や、スパイ映画を皮肉ったりのスパイスもありで、食事で言えば、しょっぱなのアミューズに、あらっ、お手軽ランチではなくって美味しい楽しいディナーかしらって思わせてくれるではありませんか。

と、思っていたら……
コリン・ファース演じるハリーがスカウトしたエグジー役のターロン・エガートンも、まぁまぁ、新鮮な添え野菜かしらって思っていたら……


思いっきりネタバレだけど


コリン・ファースが死んでから
途端に、すっかり、お子ちゃまランチになってしまった!

まぁ、これはこれでいいのでしょうけどね、
スーツ姿に眼鏡姿のターロン君を観ても、やっぱりお子ちゃまにしか見えないのよね。
これもそれもジェネレーション・ギャップによる感覚の相違かしらね。
早い話が、シニア世代の私としては、大人紳士のコリン・ファースを見たかっただけ。
最後ぐらいちらっと見せてくれても良かったのに……


でもねぇ、
23.4歳っていえば、コリン・ファースがターロン君ぐらいの時って「アナザー・カントリー」の舞台と映画に出ていた時。
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下は映画版。向かって左がルパート・エベレッタ。コリン・ファースは右側ね。
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ヘルムート・バーガーが「地獄に堕ちた勇者ども」に出たのもこの年齢くらいね。
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それから、この彼と比べたら可哀想かしら。
「太陽がいっぱい」の時ってアラン・ドロンもこの年齢くらいだったのよね。
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この頃の彼らって子供でもなく大人でもなく「青年」って言葉がぴったりくる雰囲気を持っていた。
今は「青年」って言葉も、そんなイメージもどっかに行ってしまったみたい。

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まだまだ青年とは言いがたい映画初出演のターロン・エガートン君。
これからスーツの似合う男に成長していくのかしらね。

「キックアス」が私の中ではなかなかの高評価だったし、コリン・ファースがアクション頑張ってて面白そうだから、結構期待して観に行った「キングスマン」
コリン・ファース主演と思っていたら、途中からお子様ランチに変っちゃった「キングスマン」

やっぱりシニア世代には大人テイストの「裏切りのサーカス」がしっくり来るわ。


マチ。


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by machiiihi | 2015-09-14 13:14 | 映画

映画「ギリシャに消えた嘘」

原作は、映画「太陽がいっぱい」でも知られるパトリシア・ハイスミスが1964年に発表した「殺意の迷宮」。
この作品は英国推理作家協会賞(CWA賞)外国作品賞を受賞している。
ヒッチコックが映画化した「見知らぬ乗客」も面白い。
心理サスペンスとでもいえるだろうか。
予期せぬ事態によって追い詰められていく、あるいは巻き込まれていく者の心理をじっくりと描いていくのはハイスミスのお得意。上手いですねぇ。

本作「ギリシャに消えた嘘」も同様。
次にどんな展開が待っているのか、登場人物たちの動き、彼らの一挙一投足を見逃すまいと映像を注視する。久々にじっくりと見せてもらい、サスペンスを味わった。

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舞台は1960年初頭のギリシャ。
裕福そうな中年男性と、娘ほども歳の離れた若く美しい妻。
旅行でギリシャを訪れた彼らのガイドを引受けた一人の青年。
そしてある一人の男の死によって、裕福そうに見えた男女の正体が露呈する……

ヴィゴ・モーテンセン、その妻にキルステン・ダンスト、そして彼らと出会った青年にオスカー・アイザック。
しばらく見ない間に、キルステン・ダンストもいけずそうな固さが取れて柔らかくなっていい感じ。
キャスティング良かったんではないでしょうか。


舞台を現代に置き換えてなくて良かったこと。
携帯もアイフォンもないフェイス・トゥ・フェイスだからこそ、人と人との思惑、絡み合いがサスペンスフル。

監督は、本作の脚本も手がけ、これが監督デビュー作となるホセイン・アミニ。
「日蔭の二人」や「ドライブ」などの脚本家。
そのせいかな。
手堅くまとめた演出だけど、観終わった後の印象はさほど強くない。
心理の絡み合いの中で、じっくりとクローズアアップするところと、引くところ、そういったリズム、文章では語りえない映像演出が欲しいなって思う。
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「あの男、父親に似ているんだ」そういう青年の言葉。
「あの青年が私を見ている」
青年と男の視線が絡み合い、それが物語の序章。
三角関係的なありきたりな絡みを持たせつつも、
実は、青年と男の捩れつつも交錯する関係が伏線として潜んでいるだろう。
二人の男を鮮やかに対比させ、絡ませることで、サスペンスとしてもっと面白さが出てきたんじゃないかなって思いもする。
映画的面白さ。
そんなのがやっぱり欲しかったなって思う。
★★★★なんですけどね。
ヒッチコック的サスペンスを求めてしまう。

原作では男と青年の心理描写がどのように描かれているのか気になるななぁ。
原作読んでみましょう。


Machi。
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by machiiihi | 2015-04-14 01:00 | 映画

映画「グランド・ブタペスト・ホテル」

1942年2月、
シュテファン・ツヴァイクは新しい亡命地ブラジルのペトロポリスで自殺した。
「別れの手紙」には、自分たちの世界がもはや消え失せたからには、その世界に「節操をつくし、一つの生命に終わりをもたらす」旨のことが記されていた。
~「チェスの話 ツヴァイク短篇選」池内紀解説より~


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ウェス・アンダーソン監督の「グランド・ブタペスト・ホテル」(2013)
これってレビューアップしてなかったんだ!
遅ればせながら。

もうWOWOWなんかでも放映されていて ブルーレイなども発売されているけれど、スクリーンでないと本作の味は充分には伝わりきらないだろうな。


これは思わずパンフレットを買った作品。
戦争という狂気が時代から色を奪っていく。
ボンボンシュガーみたいなこんな素敵な世界から無慈悲にも……。

そしてこんな表紙を見たら、買わずにはいられない。
それから、顔ぶれみると思わず口笛吹いてしまいそうなほど嬉しくなってしまう俳優陣。
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結構、個性的ともいえるウェス・アンダーソン作品。
半テンポずらした彼のツボ。
好きな人は堪らん味なんだろうけど、人によっては、それがどうした?どこが面白い?って風な印象ももたれるかも……の監督。
でも本作は、このボンボンシュガーみたいな世界で、かなり受容領域は広がったのではないでしょか。


そして、エンドロールの最後の言葉
「この映画は、シュテファン・ツヴァイクの著作と生涯にインスパイアされた」

ツヴァイクって誰?
でウィキペディアを覘いてみた。

ユダヤ系ドイツ人であったシュテファン・ツヴァイク。
1942年2月22日、ヨーロッパとその文化の未来に絶望して、ブラジルのペトロポリスで、1939年に再婚した二番目の妻であるロッテとともに、バルビツール製剤の過量摂取によって自殺した。死の一週間前には、旧日本軍によるシンガポール陥落の報に接し(シンガポールの戦い)、同時期にリオデジャネイロのカーニバルを見ており、自分達のいる所とヨーロッパとアジアで行なわれている現実のギャップに耐え切れず、ますます悲観したようである。
遺著となった『昨日の世界』は、自身の回想録で、著者が失われたものと考えたヨーロッパ文明への賛歌でもあり、今日でも20世紀の証言としても読まれている。(ウィキペディアより)


ツヴァイク氏
映画に登場するレイフ・ファインズ演じる伝説のコンシェルジュ”グスタヴ・H”と似ている。というより彼がモデルなんでしょう。
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作品とツヴァイク氏とを重ね合わせると物語に込められたアンダーソン監督のメッセージ、物語が語るものが見えてくる。グランド・ブタペスト・ホテルは平和主義者ツヴァイクの桃源郷でもあったんでしょうね。

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そして映画を見終わると同時に、ツヴァイクの「マリー・アントワネット」上・下巻を読んだ。
そうなんだ。映画レビューアップする前に、ツヴァイクに興味深々で彼の本を夢中になって読んでたんだ。
内容(「BOOK」データベースより)
女帝マリア・テレジアの愛娘にして、フランス宮廷に嫁いだ王妃マリー・アントワネット。国費を散財し悪女と罵られ、やがて革命までも呼び起こす。しかし彼女は本来、平凡な娘―平凡な人生を歩めば幸せに生きられたはずだった。贅沢、甘やかし、夫の不能…運命は様々に不幸という鞭をふるい、彼女を断頭台へと導いてゆく。歴史が生み出した悲劇の王妃の真実を、渾身の筆で描き出した伝記文学の金字塔。完全新訳、決定版。(アマゾン)

特に、時代が大きくうねる下巻は面白くって一気に読んだ。
膨大な資料から真偽を嗅ぎ分ける作業を土台に、ツヴァイクは目の前で繰り広げられるドラマを固唾を呑んで見続けるような面白さで時代と人を描いている。
マリー・アントワネットとフェルゼンに至っては、古典的ハーレクィンロマンスとでも言えるほど二人の切なさが伝わってくる。
池田理代子の「ベルサイユのばら」本作をたたき台にして描かれたとか。
ソフィア・コッポラの映画「マリー・アントワネット」も、ツヴァイクのマリー・アントワネット像を下敷きにしているんだろうなって思う個所が随所に描かれている。



Machi。
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by machiiihi | 2015-04-02 01:00 | 映画