アンティークなどと横文字を使うような洒落物では全くないんだけど、
私が生まれる前の物で、学生時代からず~っと使っていて、やっぱり処分できない物。
学生時代に下宿先から実家に帰った時、物置代わりに使っていたかつての蔵を潰す為に、母と祖母が中の物を整理し、不要なものは焼いていた。
そこにあったのがこの行李。
質実剛健、頑丈そのもの。
父が戦時中に使っていた行李だとか。
国から支給されたものなんでしょうね。
復員後、母を筆頭に女ばかりの5人姉妹の実家に、婿養子というよりも、長男として養子に迎えられた父。
「これ肩に担いで家にきやはったわ」そう母が教えてくれた。
祖母が「誰も欲しがらんような、古臭いけったいな物欲しがる子やねぇ。」と呆れていたけど、誰も欲しがらなくても私が気に入ってんからえんねんと、お気に入りを見つけてルンルンで、父が下宿先の京都まで送ってくれる車のトランクに積み込んで、以来、ずっと私の手元にある。
厚みがあって、上に立ってもビクともしない頑丈さ。
お座布団を置いてチェストベンチにしていた時もあるし、
ある時には子供の布オムツ入れとして使っていた時もあるし、
オムツが取れてからは、両方のジジ・ババがプレゼントしてくれて結構な量のレゴ・ブロック入れに使っていたし、
大型犬を飼いだしてからは、もっぱら2匹のシャンプー後に使うスーパーサイズのバスタタオルや毛布入れとして洗面所に置いていた。……おかげで、にぶい鋼鉄の黒色だったのが、シャンプーした後の犬たちのぶるぶるで一面水滴だらけになる被害を蒙って、すっかり白っぽくなって、彼等の爪で掻かれて一部が剥がれてしまっている。
その時に一緒に見つけたのは、祖父か曽祖父が使っていたらしい革のトランク。
こちらもお気に入りで、これもって大学のキャンパスを歩いていた。
こちらは、子育ての時間潰しに始めたパッチワークの端切れ入れになって、その後はお気に入りのポストカード入れになったりと、行李とともに我が家の居間に置かれていた。
……リフォームの時に、押入れにしまってしまった……はず、多分……処分はしていないはず……多分、きっと。
今では2階の踊り場に置かれたままになっているこの行李。
中には犬たちが使っていた毛布がまだ入れたまま。
きっとあの子達の後に又犬を飼う時があるかもと取っていたんでしょう。
中の物は処分して、行李はワックスで磨いてあげよう。
Machi。