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マチの、映画と日々のよしなしごと

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映画「アメリカン・ハッスル」

公開初日の金曜日。
夫は名古屋出張で夜は会食が入っているから帰りは最終の新幹線になる予定との事。
労いの口調で「いやぁ、大変ネェ。疲れるよねぇ~」とか何とかいいながら、お腹の中では「やったね!仕事が終ったら映画!」とニンマリのVサイン。で、観に行ってきました「アメリカン・ハッスル」

AMERICAN HUSTLE
2013年/アメリカ/138分
監督:デヴィッド・O・ラッセル
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まずは登場が詐欺師アーヴィン役のクリスチャン・ベイル。
この役で増量したとかで、太った身体にでっぷりした太鼓腹。「アメリカン・サイコ」の役作りでガリガリになったのが話題となったかと思うと、「バットマン・ビギンズ」ではマッチョな身体になり、「ザ・ファイター」ではまたまた薬物中毒のガリガリになったかと思うと、本作ではフォアグラ状態の肥満体になるという、まさに身体を張った役作り。

薄くなった髪の毛に丁寧に鬘を張りつけて、さらに横からぐ~っと髪の毛をもってきての一九分けヘアーづくりに余念が無い。
バスルームの鏡に向かっての中年男のこんな涙ぐましい姿のバックに流れてくるのはアメリカの「名前のない馬」(だったよね?)
物語の舞台である1970年代のヒット曲オンパレードで各シーンが盛り上がるってのも確かこの映画の売り。映画と音楽で育った世代としては嬉しいよね。

続いて部屋に入ってきたのはアーヴィンの愛人で詐欺のパートナーでもあるシドニー役のエイミー・アダムス。
その後に、喉から手がでるほど手柄が欲しくてウズウズのFBI捜査官リッチー役のブラッドリー・クーパー。
シドニーとアーヴィンの生い立ちだの出会いだの、リッチーに嵌められ囮捜査に協力する羽目になってしまった経緯なんかが訥々と語られて……
それから囮捜査のええカモにされる市長役カーマインを演じるジェレミー・レナが出てきて……
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この3人+1人で役者はぼ出たはずで、おとり捜査がスタートしたはずなんだけど、観ていてもこの面子のどれもこれもどうも華がなくって、エイミー・アダムスもちっともセクシーじゃなくって、お通夜か葬式みたいで、いまいち彼らの策略話にも乗れず、「アメリカン・ハッスル」って面白い映画だったはず、よね?って自問自答していると……

アーヴィンの妻ロザリン役のジェニファー・ローレンスがでてきた途端に、
夜のしじまにドカンと景気良く上がった打ち上げ花火みたいに一気に勢いと活気が出てきて、ロザリンの場の空気読まないハチャメチャぶりがあたりの空気を派手にかき回し、そんなロザリンも巻き込んで、囮捜査の話もあれよあれよと面白くなってくる。

いやぁ、
ジェニファー・ローレンス最高!
他の4人は四捨五入したら40歳に対して彼女は20代初め。
でも本作のジェニファー・ローレンスをみていると、顔の若さはさすがに隠せないけれど、他の4人を圧倒して、

この人とか
↓「ローズ」のベッド・ミドラー
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この人とか
↓「グロリア」のジーナ・ローランズ
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こんな二人に重なる貫禄とパワーを感じたわ。

囮捜査に、思わぬ大物マフィアが食いついてきて、さらにロザリンの予測不能な行動からFBIの片棒担がされたアーヴィンが絶体絶命の危機に。
袋小路の中でヒッシのパッチで思いついた企みで起死回生を図ろうとするアーヴヴィンとそれに檄を送るロザリンって、喧嘩に負けて泣いて帰ってきた息子を叱咤激励して「やり返して、勝ってくるのよ!」って背中を押す肝っ玉母さん。
この映画で唯一のおバカキャラかと思いきや…のロザリン。
それに素直に肯くクリスチャン・ベイルもまた可愛いこと(笑)

この映画、一番の存在感と貫禄あった大玉はなんたってジェニファー・ローレンス。
それから大物マフィアでカメオ出演したロバート・デ・ニーロ。

そしてこの映画、アメリカで実際にあった「アブスキャム事件」といわれる収賄事件をヒントにした映画だけど、事実に基づいた映画ではなくって、いくつかの事実を含んだ物語。

囮捜査に巻き込まされた詐欺師の男と女がたどり着いたのは、嘘で塗り固めた裏稼業の人生よりも、愛する者共に生きる真っ当な人生。
本当に心を満たしてくれるのは、金ではなくって愛。
70年代のアメリカって、戦争一人勝ちで世界を引っ張っていく超大国で、誰も彼もが一攫千金のアメリカンドリームを夢見て必死だった時代。
アーヴィンもシドニーも、それにリッチーもイヤというほど貧しさを味わって育った者たち。カーマインにしたって市民の雇用を促進したいがためのカジノ建設。収賄にもつい手が伸びる。
そんな70年代のアメリカを背景にした物語だけど、今のアメリカに本当に求められている金ではなくって愛。
デヴィッド・O・ラッセルが「アメリカン・ハッスル」で描いたのは、そんなラブストーリー。

実直な市民社会に戻った詐欺師の二人だけど、ロザリンは大物マフィアの幹部のハートを射止めてマイアミへ。そう、貴女にはロングアイランドより太陽もまぶしいマイアミが似合っているわ。

いやぁ、それにしてもジェニファー・ローレンスって、
あんたは最高!
この映画を大いに楽しませてくれたのも、ここまで魅力的にしたのも貴女がいたから!
さて、オスカーの行方は?
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Machi。
by machiiihi | 2014-02-03 12:45 | 映画
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